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農業機械メーカの業績について調べてみた ~クボタ~

はじめに

今回はクボタについて調べてみました。
クボタといえば農業機械メーカとして有名ですが、実は膜分離活性汚泥法(MBR)で使用される分離膜を生産しており水環境ビジネスも手がけています(事業全体に占める割合は小さいですが)。また、クボタは世界で初めて平膜タイプのMBR膜の開発に成功したメーカであることでもあり、MBR膜の分野では日本トップに位置しています。これらのことを知ったのがキッカケでクボタに興味を持ち、調べてみることにしました。

それではクボタについてみていきましょう。

クボタの事業について

クボタの事業は「機械」「水・環境」「その他」の3つのセグメントに分類されます。セグメント毎の売上高の割合を以下のグラフに示します。

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クボタ 第126期 有価証券報告書より。

クボタは機械事業に注力している会社であることが分かります。水・環境事業も手がけていますが売上に占める割合は2割未満と少ないです。

セグメント毎の主要品目をクボタの第126期有価証券報告書よりまとめました。

機械

主に農業機械及び農業関連商品、エンジン、建設機械、電装機器の製造販売を行っています。

区分 主要品目
農業機械及び農業関連商品 トラクタ、耕うん機、コンバイン、田植機、芝刈機、ユーティリティビークル、その他農業機械、インプルメント、アタッチメント、ポストハーベスト機器、野菜機械、中間管理機、その他関連機器、ミニライスセンター、育苗・精米・園芸施設
エンジン 農業機械用・建設機械用・産業機械用・発電機用等各種エンジン
建設機械 ミニバックホー、ホイールローダ、コンパクトトラックローダ、スキッドステアローダ、その他各種建設機械関連商品
電装機器 各種計量・計測・制御機器及びシステム、各種飲料用自動販売機、空調機器、空気清浄機

水環境

主にパイプ関連製品、環境関連製品、社会インフラ関連製品の製造販売を行っています。

区分 主要品目
パイプ関連 上下水処理装置及びプラント、水処理用膜ユニット、各種用排水プラント、し尿処理プラント、廃棄物焼却・溶融プラント、廃棄物破砕・選別プラント、排煙脱硫装置、膜型発酵メタンプラント、浄化槽、浴槽
社会インフラ関連 反応管、ハースロール、圧延用ロール、セラミックス、TXAX[ブレーキ用材料]、スパイラル鋼管(鋼管杭、鋼管矢板)

その他

主に各種サービスの提供、住宅機材の製造販売を行っています。

区分 主要品目
その他 物流・金融等各種サービス、屋根材、外壁材

 

クボタの業績の推移

売上高と営業利益の推移

以下のグラフに売上高の推移と営業利益率の推移を示します。

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クボタの有価証券報告書より

  • 注意
    • 2015-12期は決算期の変更により9ヶ月分データとなっている


2010年前後に売上高が落ち込んでいますが、その後回復し2005~2009年よりも高い水準の売上高となっています。売上が落ち込む時期があったものの、この12年間全体でみると売上高は成長しています。また、クボタは平均10.7%の営業利益率をあげています。

以下のグラフに営業利益の推移を示します。

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クボタの有価証券報告書より

  • 注意
    • 2015-12期は決算期の変更により9ヶ月分データとなっている


こちらも2010年前後に営業利益が落ち込んでいますが、この12年間全体でみると成長しています。2010年前後の落ち込みはおそらくリーマンショックによる影響でしょう。このことからクボタは景気循環の影響を受けやすい会社と言えます。


売上と営業利益について以下のことが分かりました。

  • 売上高および営業利益は2005-3~2015-12期全体でみると成長している
  • 営業利益率の平均10.7%である
  • クボタの業績は景気循環の影響を受ける

総資産の推移

以下のグラフに総資産・自己資本比率・総資産営業利益率の推移をしめします。

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クボタの有価証券報告書より

  • 注意
    • 2015-12期は決算期の変更により9ヶ月分データとなっている

総資産は2012年以降急激に増加しており、会社の規模が大きくなっています。また、総資産営業利益率は横ばいとなっており総資産の成長と併せて営業利益も成長出来ていることがわかります(総資産が増加したのに利益が増加しないと、総資産営業利益率は低下する)。さらに自己資本比率は上昇傾向にあり、2015年12月期では48%となっています。

資産について以下のことが分かりました。

  • 総資産は2005-3~2015-12期にかけて増加しており、約2倍の規模となっている
  • 資産の成長と併せて利益も成長している
  • 自己資本比率は上昇傾向で、2015年12月期は48%であった

セグメント別の業績

以下のグラフにセグメント別の売上と利益率の推移を示します。

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クボタの有価証券報告書より

  • 注意
    • 2015-12期は決算期の変更により9ヶ月分データとなっている
    • 売上および利益はセグメント間のやり取りを控除する前の値である
    • セグメントの分類が過去何度か変更されているため、過去のセグメント情報は以下のように計上している
      • 2005~2008年の内燃機関関連を機械と計上
      • 2005~2008年の社会インフラと環境エンジニアリングを水・環境と計上
      • 2009~2012年の機械を機械と計上
      • 2009~2012年の水環境システム・社会インフラを水・環境と計上


機械事業の売上は成長しており、売上の規模も水・環境事業よりも高くなっています。さらに、利益率面でも水・環境事業よりも機械事業の方が高くなっています。クボタの収益の柱は機械事業であり、クボタの成長は機械事業が牽引しているといっていいでしょう。一方、水・環境事業の売上・利益は成長していませんが、機械事業と比べると不景気(2010年前後)の際の売上高の減少が緩やかで、一定の水準の売上を維持しています。

以下のグラフにセグメント別の利益および全体に占める割合の推移を示します。

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クボタの有価証券報告書より

  • 注意
    • 同上

機械事業の利益は成長しています。一方、水・環境事業の利益は波がありますがほぼ横ばいです。また、機械事業が全体の利益に占める割合は2015年12月期で9割を越えており、クボタの収益のほとんどが機械事業によるものであることがわかります。


セグメント別の業績について以下のことが分かりました。

  • 機械事業の売上・利益は成長しているが、水・環境事業の売上・利益は成長していない
  • 機械事業の利益率は、水・環境事業の利益率と比べて高い
  • 2015年12月期の収益の90%以上が機械事業によるものである

海外売上の推移

以下のグラフに地域別の売上シェアおよび売上高の推移を示します。

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クボタの有価証券報告書より

  • 注意
    • 2015-12期は決算期の変更により9ヶ月分データとなっている
    • 売上高はセグメント間のやりとりを控除後の値を使用している
    • 2008年にその他から欧州が分離
    • 2009年にその他からアジアが分離

2005年3月期の海外売上は33%でしたが、2015年12月期には68%まで増えており、海外の売上の方が大きくなっています。地域別にみてみると、北米の売上高が大きく、次いでアジア、欧州となっています。クボタは全世界で事業を行っており、その売上の割合も海外の方が大きくなっています。

海外の売上について以下のことが分かりました。

  • クボタの2015年12月期の売上の68%が海外での売上である
  • 海外の中では北米・アジアの売上が大きい

国内農業機械市場でのクボタのシェア(2002年~2011年)

2002年から2011年までのトラクター、コンバイン、田植え機の国内シェアが分かる資料を発見しましたので、紹介いたします。ここでは名城大学の大西ゼミナールのwebページにて掲載されていた画像を引用しています。

名城大学の大西ゼミナールのwebページより引用。

  • トラクター

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  • コンバイン

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  • 田植え機

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トラクター、コンバイン、田植え機でクボタがシェアトップとなっている。2011年時点の情報であるため、現段階でどうなっているかは不明ですが、クボタが国内の農業機械市場で優位に立っていたことが分かります。

国内の農業機械市場について以下のことが分かりました。

  • 2002~2011年までのトラクター、コンバイン、田植え機でクボタがシェアトップである
  • 国内の農業機械市場の有力メーカは以下のとおりである
    • クボタ
    • 井関農機
    • 三菱農機
    • ヤンマー

参考 世界の農業機械市場の動向

経済産業省による調査結果に2007年から2017年までの農業機械の品目別・地域別の市場動向が記載されていましたので紹介致します。以下のグラフに農作業機械の品目別の市場規模推移を示します。

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産業機械の世界市場及び内外企業の動向等に関する調査よりデータを参照し作成

  • 注意
    • 数値は全て推計値

コンバインハーベスター/脱穀機とトラクターの伸びが大きく、特にコンバインハーベスター/脱穀機が顕著です。


以下のグラフに農作業機械の地域別の市場規模推移を示します。

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産業機械の世界市場及び内外企業の動向等に関する調査よりデータを参照し作成

  • 注意
    • 数値は全て推計値

アジア・太平洋、中国の伸びていますが、北米と欧州は変わっていません。日本はやや増加しています。


世界の農業機械市場の動向について以下のことが分かりました。

  • 品目別にみるとコンバインハーベスター/脱穀機とトラクターの伸びが大きい
    • 特にコンバインハーベスター/脱穀機の伸びが顕著である
  • 地域別にみると
    • アジア・太平洋、中国が伸びている
    • 北米、欧州は横ばい
    • 日本はやや増加

おわりに

今回クボタについて調査して以下のことが分かりました。

  • 売上・営業利益ともに成長している
  • 営業利益率は平均10.7%である
  • 総資産の成長によって規模が2005~2015年で2倍になった
  • 会社規模の成長とともに利益も成長している
  • 総資産営業利益率は平均7.4%である
  • 自己資本比率は上場傾向で2015年12月期は48%である。
  • クボタは2002~2012年のトラクター、コンバイン、田植え機の国内シェアトップであった
  • 海外の売上比率が増加しており、2015年時点で68%が海外での売上である
  • 海外では北米、アジアでの売上が大きく、北米と国内の売上高が同じくらいである
  • 機械事業が収益の柱であり、売上・利益率ともに水環境事業に勝る

今後は他の農業機械メーカについて調査し以下について比較予定です(何社か調べた後で)

  • 営業利益率
  • 総資産営業利益率
  • 自己資本比率
  • 海外売上の割合

今回はここまでです。