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農業機械メーカーの業績について調べてみた ~ディア・アンド・カンパニー~

はじめに

今回はDeere & Companyについて調べてみました。この会社はアメリカの会社で農業機械で世界No1メーカーです。売上は約3.5兆円(1ドル100円換算)もあり、クボタの2倍以上の規模があります。農業機械メーカとして無視できない会社であるため、取り上げることに致しました。

それではDeere & Companyについてみていきましょう。
(本記事では1ドル100円で換算し数値を算出しております。以降記事の中では特に断りを入れませんのでご了承ください。)

Deere & Companyの事業について

Deere & Companyの事業は「農業機械・芝刈り機事業」「建設林業機械事業」「金融事業」の3つのセグメントに分類されます。セグメント毎の売上高および収益の割合を以下のグラフに示します。金融事業の収益ついては他の事業の売上と同じように扱うべきではないですが、ここでは事業規模の比較のためグラフに含めています。

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Deere & Company 2015年10月期 フォーム10-Kによる年次報告書より


Deere & Companyは主に農業機械・芝刈り機事業を行っています。ついで建設林業機械事業、金融事業となっています。金融事業は主に農業機械や建設林業機械購入時のローンを顧客に提供するためのものです。セグメント毎の主要品目をDeere & Companyの2015年10月期 フォーム10-Kによる年次報告書よりまとめました。

農業機械・芝刈り機事業

ユーティリティトラクターを含む様々な農業機械および芝刈り機の製造およびディーラーへの供給を行っています。

区分 主要品目
農業機械 トラクターおよび周辺機器 コンバイン トウモロコシ収穫機 綿・サトウキビ収穫期 関連フロントエンド機器 サトウキビ荷役機 耕作機 噴霧機 栄養管理・土壌の準備機械 自走式飼料収穫機や梱包機械などの周辺機器  
芝刈り機および関連機器 芝刈り機 飼料用機器 手押し式の芝刈り機 ゴルフコース整備機器 ユーティリティビークル 商業用草刈り機 アウトドア電源製品

建設林業機械事業

建設、土木、マテリアルハンドリングと木材収穫に使用される機械やサービス部品などの広い分野の製造およびディーラーへの供給を行っています。

区分 主要品目
建設・土木 バックホーローダー クローラー式ブルドーザー 4輪駆動荷役機 ショベル モーターグレーダー アーティキュレートダンプトラック スキッドステアローザー
木材収穫・集材 フェラーバンチャー スキッダー ログローダー ログフォワーダー 木材収穫機

金融事業

農業機械や芝刈り機、建設・林業機械の販売用のローンおよびリースを行っています。

区分 主要品目
金融 ローン リース

Deere & Companyの業績の推移

売上高と営業利益の推移

以下のグラフに売上高の推移と営業利益率の推移を示します。

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Deere & Company フォーム10-Kによる年次報告書より


2009年~2010年に売上高が落ち込んでいますが、この12年間で売上は成長しています。また、Deere & Companyは平均12.3%の営業利益率をあげています。

以下のグラフに営業利益の推移を示します。

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Deere & Company フォーム10-Kによる年次報告書より


こちらも2009年に営業利益が落ち込んでいますが、この12年間で営業利益は成長しています。2009年に売上や営業利益が落ち込んでいることからDeere & Companyは景気循環の影響を受ける会社と言えます。しかし、売上や営業利益は2年ほどで元の水準まで回復しており、景気循環の影響を受けてはいますが限定的です。


売上と営業利益について以下のことが分かりました。

  • 売上高および営業利益ともに2009年~2010年に落ち込む時期はあったが、この12年間で成長している
  • 営業利益率は平均12.3%である
  • Deere & Companyの業績は景気循環の影響を受ける

総資産の推移

以下のグラフに総資産・自己資本比率・総資産営業利益率の推移をしめします。

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Deere & Company フォーム10-Kによる年次報告書より


総資産は2004年は3兆円程度でしたが、2015年には6兆円程度まで成長し、会社規模が12年間で2倍になっています。また、総資産営業利益率は景気循環の影響を受けて下がる場面があるものの安定しておりほぼ横ばいとなっています(平均7.7%程度)。総資産・会社規模の成長と併せて営業利益も成長出来ています。自己資本比率は減少傾向にあり、2015年10月期では11.6%となっています。自己資本比率が日本の農業機械メーカと比べて低くなっていますが、株主還元のための自社株買いのためや、株主資本に対する利益率を高く保とうとする米国企業の特色であり低自己資本比率が一概に悪いとは言えません。

資産について以下のことが分かりました。

  • 総資産は2004-10~2015-10期にかけて2倍に成長した
  • 資産の成長と併せて利益も成長している
  • 自己資本比率は下降傾向で、2015年3月期は11.6%であった


Deere & Companyは金融事業を行っていることもあり、金融事業のための資産を大量に保有しています。以下のグラフにセグメント別の資産推移を示します。

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Deere & Company フォーム10-Kによる年次報告書より

金融事業の資産が大変多く、総資産(会社規模)の成長のほとんどが金融事業の資産成長で説明できてしまいます。自社製品の販売ローンのためDeere & Companyは金融事業を行っていますが、そのために大量の資産が必要なのでしょう。また、金融事業がDeere & Companyの好業績を支えている面が大きいと私は考えています。農業機械や建設機械は非常に高価で、これらの購入は農家にとっては大きな負担です。それを補う仕組みとしてDeere & Companyは販売ローンやリースを提供しており、それが他社との差別化を促進し、業績の向上に一役買っていると考えられます。だからこそ、Deere & Companyは金融事業のためにこれだけ多くの金融資産を保有しているのでしょう。

セグメント別の業績

以下のグラフにセグメント別の売上と利益率の推移を示します。

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Deere & Company フォーム10-Kによる年次報告書より

  • 注意
    • 売上および利益はセグメント間のやり取りを控除した後の値
    • 金融については他のセグメントの売上に相当する数値がなかったため除外した
    • 2004~2008年の商業用および民生機械を農業機械・芝刈り機と計上

売上は農業機械・芝刈り機事業と建設林業機械事業の双方で成長傾向にあります。一方で売上規模は農業機械・芝刈り機事業が大きくなっています。利益率についてみてみると、2007年までは建設林業機械事業の方が高くなっていましたが、それ以降は逆転され、農業機械・芝刈り機事業の方が高い利益率をあげています。また、全体を通しての利益率は農業機械・芝刈り機事業は平均11.4%、建設林業機械事業は平均8.6%となります。このことから農業機械・芝刈り機事業の方が収益性が高いといえます。


以下のグラフにセグメント別の利益および全体に占める割合の推移を示します。


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Deere & Company フォーム10-Kによる年次報告書より

  • 注意
    • 利益はセグメント間のやり取りを控除した後の値
    • 2004~2008年の商業用および民生機械を農業機械・芝刈り機と計上


農業機械・芝刈り機事業による利益が全体の利益の大半を占めていることがわかります。少ない年でも50%、多い年だと80%を占めています。これに次いで、金融事業、建設林業機械事業となっています。また、農業機械・芝刈り機事業および金融事業の利益はこの12年間で成長していますが、建設林業機械事業の利益は2009年以降回復してはいますが、2007年以前の水準には達しておらず減少傾向にあると言えます。これは建設林業機械事業の利益率が以前よりも低下していることが原因です。Deere & Companyは建設林業機械事業の分野での競争力を失いつつあるのかもしれません。ただし、2015年10月期の利益率は8.8%あり低い水準ではありません。あくまでも過去と比較した場合です。

売上の面でも、利益の面についてみてもDeere & Companyはまさに農業機械メーカと呼ぶのにふさわしい会社だと言えます。


セグメント別の業績について以下のことが分かりました。

  • 農業機械・芝刈り機事業は建設林業機械事業に比べて利益率が高く、収益性がよい
  • 農業機械・芝刈り機事業と金融事業の利益は成長しているが、建設林業機械事業の利益は成長できていない

地域別売上の推移

以下のグラフに地域別の売上割合および売上高の推移を示します。

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Deere & Company フォーム10-Kによる年次報告書より

2015年10月期の売上の7割程度が「米国とカナダ」でのものとなっており、Deere & Companyが北米市場に力を入れていることがわかります。売上高も「米国とカナダ」で成長しています。2007年から2017年の北米の農業機械の市場規模はほぼ横ばいであると推定されるため、Deere & Company社の市場寡占度が上昇したと考えられます。また、「それ以外」の地域の売上高も成長しています。

地域別の売上について以下のことが分かりました。

  • Deere & Companyの2015年10月期の売上の7割程度が「米国とカナダ」でのものである
  • 売上高は「米国とカナダ」「その他」で成長出来ている

おわりに

今回Deere & Companyについて調査して以下のことが分かりました。

  • 売上・営業利益ともに成長している
  • 営業利益率は平均12.3%である
  • 総資産は2004~2015年で2倍に成長した
  • 会社規模の成長とともに利益も成長している
  • 金融事業のため資産が総資産の大半を占めている
  • 総資産営業利益率は平均7.7%である
  • 自己資本比率は下降傾向で2015年10月期は11.6%である。
  • 売上の約7割が北米でのものである
  • 農業機械・芝刈り機事業が収益の柱である

今回はここまでです。