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農業機械メーカ4社の業績を比較してみた

はじめに

これまでに4社の農業機械メーカを調べてきました。

  • クボタ
  • ヤンマー
  • 井関農機
  • Deere & Company

その中で売上高、営業利益率、総資産利益率などの指標を算出してきましたが、各社単体でこれらの数値をみてもそれが高いのか低いのかわかりませんでした。そこで、今回は4社の農業機械メーカの指標を比較してみたいと思います。


また、この記事をご覧になる際は以下にご注意ください

  • 本記事では業績の指標を比較しているのみであり、企業の価値について言及するものではありません
  • 各社が発行する株式数には大きな違いがあり、ここで述べる指標の差がそのまま株式価値の差となるわけではありません

業績の比較

売上と売上営業利益率

以下のグラフに各農業機械メーカの売上と売上営業利益率の関係を示します。グラフには年毎の値をプロットしています。

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各社の有価証券報告書・決算短信・年次報告書より作成

売上の規模についてみてみると、Deere & Company、クボタ、ヤンマー、井関農機の順番に高くなっており、これは売上営業利益率でも同様です。また、売上が1兆円より大きく、売上営業利益率が10%を越えているのはDeere & Companyとクボタの2社です。つまり、売上が大きくかつ収益性の高い事業を営んでいるのはこの2社です。ただし、売上についてはDeere & Companyがクボタを大きく引き離しており、クボタはDeere & Companyの50%以下の売上しかありません。
ヤンマーの売上・売上営業利益率はDeere & Company・クボタの50%以下となっており、井関農機の売上はDeere & Company・クボタの20%以下、売上営業利益率は30%以下と大きく差をつけられています。
売上の規模や収益性についてみてみると、魅力的なのはDeere & Companyとクボタの2社だと言えます。


売上と売上営業利益率について比較して以下のことがわかりました。

  • 売上規模と売上営業利益率の順位は以下の通りである
    1. Deere & Company
    2. クボタ
    3. ヤンマー
    4. 井関農機
  • Deere & Companyの売上が圧倒的に高い
  • 売上が大きくかつ収益性の高い事業を営んでいるのはDeere & Companyとクボタであり、他の2社はDeere & Companyとクボタに大きく差をつけられている

営業利益

以下のグラフに各農業機械メーカの営業利益の推移を示します。

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各社の有価証券報告書・決算短信・年次報告書より作成

  • 注意
    • 最新年を2016年とし、過去12年間分をプロットしている
    • 会社によって決算期が異なるため厳密に同じ時期のデータが並んでいるわけでは無い


営業利益の額についてみてみると、売上の場合と同様にDeere & Company、クボタ、ヤンマー、井関農機の順番に高くなっています。売上と売上営業利益率のデータからも自明ですが、営業利益の額はDeere & Company、クボタが圧倒的に高く1000億円を越えています(それでもクボタの営業利益はDeere & Companyの35%程度ですが)。ヤンマーと井関農期の営業利益の額は低く、ヤンマーはDeere & Companyとクボタの20%以下、井関農機は2%以下しか稼げていません。
また、2009年以降に営業利益が低くなる期間があり、農業機械メーカーの営業利益は景気や市況の影響を受けると言えます。


営業利益の額を比較して以下のことがわかりました。

  • 営業利益の順位は以下の通りである
    1. Deere & Company
    2. クボタ
    3. ヤンマー
    4. 井関農機
  • Deere & Companyの営業利益が圧倒的に高い
  • 1000億円を越す水準の営業利益をあげているのはDeere & Companyとクボタの2社である
  • Deere & Companyとクボタの営業利益はヤンマーと井関農期の5倍以上である
  • 農業機械メーカの営業利益は景気や市況の影響を受ける

総資産と総資産営業利益率

以下のグラフに各農業機械メーカの総資産と総資産営業利益率の関係を示します。グラフには年毎の値をプロットしています。

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各社の有価証券報告書・決算短信・年次報告書より作成

総資産(会社規模)についてみると、Deere & Company、クボタ、ヤンマー、井関農機の順番に高くなっており、これは総資産営業利益率でも同様です。売上と売上営業利益率とほぼ同様の記載となってしまうため、詳しくはみませんが、総資産と総資産営業利益率についてもDeere & Companyとクボタがヤンマーと井関農機を大きく引き離しており、会社規模と資産効率が高くなっています。


総資産と総資産営業利益率について比較して以下のことがわかりました。

  • 総資産と総資産営業利益率の順位は以下の通りである
    1. Deere & Company
    2. クボタ
    3. ヤンマー
    4. 井関農機
  • Deere & Companyとクボタがヤンマーと井関農機を大きく引き離しており、会社規模と資産効率が高くなっている

自己資本比率

以下のグラフに各農業機械メーカの自己資本比率の推移を示します。

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各社の有価証券報告書・決算短信・年次報告書より作成

  • 注意
    • 最新年を2016年とし、過去12年間分をプロットしている
    • 会社によって決算期が異なるため厳密に同じ時期のデータが並んでいるわけでは無い

自己資本比率は、クボタ、井関農機、ヤンマー、Deere & Companyの順に高くなっています。また、クボタ、ヤンマー、井関農機の三社の自己資本比率が上昇傾向であるのに対して、Deere & Companyは下降傾向にあります。財務の安全性についてはクボタ、ヤンマー、井関農機の方がDeere & Companyよりも高いと言えるでしょう。ただし、自己資本比率はあくまでも目安であり詳しく保有資産の状態についてみてみないと財務の安全性についてはわからない面があります。さらに、Deere & Companyの自己資本比率が他社と比べて低くなっていますが、株主還元のための自社株買いや、株主資本利益率を高く保とうとする米国企業の特色のためであり低自己資本比率が一概に悪いとは言えません。


自己資本比率を比較して以下のことがわかりました。

  • 自己資本比率の順位は以下の通りである
    1. クボタ
    2. 井関農機
    3. ヤンマー
    4. Deere & Company
  • クボタ、ヤンマー、井関農機の三社の自己資本比率が上昇傾向であるのに対して、Deere & Companyは下降傾向にある
  • 財務の安全性はクボタ、ヤンマー、井関農機の方がDeere & Companyよりも高い

海外売上比率の比較

以下のグラフに各農業機械メーカの海外売上比率の推移を示します。

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各社の有価証券報告書・決算短信より作成

  • 注意
    • 最新年を2016年とし、過去12年間分をプロットしている
    • 会社によって決算期が異なるため厳密に同じ時期のデータが並んでいるわけでは無い
    • Deere & Companyの数値についてはデータがないこと、海外売上比率を比較する対象として適切ではないため除外している


海外売上比率は、クボタ、ヤンマー、井関農機の順に高くなっている。3社ともに海外売上比率は上昇傾向であるが、井関農機は上昇率が極めて低い。また、海外売上比率が50%程度まで達しているのはクボタとヤンマーの2社であり、井関農機は低い水準(15%程度)のままである。


以下のグラフに2007年から2017年までの地域別の農業機械市場規模の推移(推計値)を示します。

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産業機械の世界市場及び内外企業の動向等に関する調査よりデータを参照し作成

  • 注意
    • 数値は全て推計値
    • 1USドルあたり100円として計算


以下の表に各地域の「市場規模が2007年と2017年とを比べてどの程度成長しているか」と「2017年時点での市場規模の大きさ」をまとめました。

地域 成長値(%) 2017年の市場規模(兆円)
日本 55.14 14.22
北米 10.96 16.83
西欧 5.95 26.82
中国 130.45 22.63
アジア・大洋州 98.9 43.31
その他 70.98 13.29
海外全体 53.89 122.87

産業機械の世界市場及び内外企業の動向等に関する調査よりデータを参照し作成

  • 注意
    • 数値は全て推計値から計算
    • 1USドルあたり100円として計算

日本の成長値(2007年と比べて2017年に市場規模が何%成長しているか、以降成長値と記載する)は55%と決して小さくなく、海外の53%比較しても遜色ありません。しかし、特定の地域に絞ってみてみると、中国が130%、アジア・太平洋が98.9%と日本の2倍以上の成長値となっています。一方、市場規模についても日本は14兆円ですが、中国が22兆円、アジア・太平洋が43兆円あり合計すると日本の4.6倍の規模があります。したがって、日本でのみ事業を展開するよりも中国やアジア・太平洋でも事業を展開する方が、市場規模とその成長性の観点から有利であると言えます。

このことから海外売上比率の違いがクボタ・ヤンマー・井関農機の業績の差を生んだ要因の一つであると私は考えています。


海外売上比率を比較して以下のことがわかりました。

  • 海外売上比率は以下の順番で高い
    1. クボタ
    2. ヤンマー
    3. 井関農機
  • 井関農機の海外進出は進んでいない
  • 農業機械市場は日本と比較して、中国とアジア・太平洋の方が2倍以上成長している
  • 農業機械市場の規模は日本と比較して、中国とアジア・太平洋の方が4.6倍大きい

終わりに

農業機械メーカ4社(クボタ、ヤンマー、井関農機、Deere & Company)を比較して以下のことがわかりました。

  • 業績についてはDeere & Companyの一人勝ちである
  • 業績についてDeere & Companyに対抗出来そうなのはクボタくらいである
  • 自己資本比率はクボタ、ヤンマー、井関農機の方がDeere & Companyよりも高く、財務の安全性は高そうである
  • 海外売上比率はクボタ、ヤンマーが高く、井関農期は低い
  • 農業機械の市場規模と市場の成長性は日本よりも、中国やアジア・太平洋の方が高い

今回はここまでです。