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農業機械メーカの業績と穀物価格の関係について調べてみた

はじめに

これまで農業機械メーカについて調べ、比較してきました。

quwechan.hatenablog.com

農業機械メーカについて調べていると穀物の国際市況という言葉をよく目にして、穀物の国際市況は大切なんだろうなと何となく思っていました。
そこで今回は農業機械メーカ各社の業績がなぜ穀物価格に影響を受けるのかについてをまず考え、その上で、各社の業績と穀物の国際価格の相関を取ることで穀物国際価格が各社の業績に影響を与えているのか調べました。


なぜ穀物価格が農業機械メーカの業績に影響を与えるのか

農業機械メーカの顧客は誰か

農業機械メーカの顧客のほとんどは農家です。また、小型農業機械については庭を持つ富裕層のガーデニング需要などもありますので、庭付きの住宅購入者も顧客でしょう。ただし、ここでは話を単純にするために、これを除いて考えたいと思います。

顧客の購買力は穀物市況に影響を受ける

農家は農地から収穫する作物を売って収入を得ているので、その作物の価格によって購買力が大きく変化します。農家が生産する作物でもっとも一般的な作物は穀物でしょう。したがって、小麦・大麦・トウモロコシ・米の価格変動は農家の収入や購買力に大きく影響します(ここでは大豆も対象に加えています)。穀物価格が上昇し、農家の収入や購買力が高まれば、農業機械を購入する余裕が生まれるため、農業機械メーカの業績上昇要因になると考えられます。

穀物の国際価格について

以下のグラフに主要穀物と大豆の国際価格の推移を示します。

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IMF Primary Commodity Pricesより

  • 注意
    • 年間の平均額を記載
    • 2016年は1月から6月までの平均

2008年に穀物価格が急激に高くなり、それ以降一定の水準を保っていましたが、2012年以降に価格が下落しています。

農業機械メーカの業績と穀物価格

穀物市況と農業機械メーカーの業績に相関はあるのでしょうか。以下のグラフに農業機械メーカの「業績」と「主要穀物および大豆の国際平均価格」をプロットしました。また、各社のプロット結果に対して回帰直線を引いています。この時の相関係数をみて、業績と穀物価格に相関があるかないかを判断したいと思います。一般には-1~1の数値で、±1に近ければ相関が高いと言えます。

ここでは相関係数Rの値によって、以下のように相関有無を判断することとします。

1.0 ≧ R ≧ 0.7 高い相関がある
0.7 ≧ R ≧ 0.5 かなり高い相関がある
0.5 ≧ R ≧ 0.4 中程度の相関がある
0.4 ≧ R ≧ 0.3 ある程度の相関がある
0.3 ≧ R ≧ 0.2 弱い相関がある
0.2 ≧ R ≧ 0.0 ほとんど相関がない

出典:「社会調査の基礎」放送大学テキスト


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  • 注意
    • 売上及び営業利益は1ドル100円換算で算出
    • 主要穀物および大豆の国際平均価格はドルのままの数値を使用している


以下の表にグラフの回帰直線の相関係数および相関の程度をまとめました。

対象 相関係数 判定
クボタの売上 0.26 弱い相関がある
クボタの営業利益 0.11 ほとんど相関がない
Deere & Companyの売上 0.78 高い相関がある
Deere & Companyの営業利益 0.69 かなり高い相関がある
ヤンマーの売上 -0.19 ほとんど相関がない
ヤンマーの営業利益 0.22 弱い相関がある
井関農機の売上 0.06 ほとんど相関がない
井関農機の営業利益 0.06 ほとんど相関がない


主要穀物および大豆の国際平均価格と各社の業績に相関はあるのでしょうか。上記の表をみて述べていきます。Deere & Companyの売上に対して高い相関があり、営業利益に対してかなり高い相関があるという判定が出た以外は、ほとんど相関がないか弱い相関がある程度でした。このことからDeere & Companyの業績は穀物市況の影響を強く受けるが、クボタ・ヤンマー・井関農機についてはあまり影響を受けないとわかります。

おわりに

主要穀物および大豆の国際平均価格と各社の業績の相関を調べた結果以下のことがわかりました。

  • Deere & Companyの業績には穀物の国際市況が大いに影響している。
  • クボタ・ヤンマー・井関農機については、あまり影響していない。

上記のことがわかったのはいいのですが、その理由が気になっています。井関農機は海外進出はしてないといっていいレベルなので穀物の国際市況に影響を受けないのは当然です。しかし、クボタの海外進出率は68%、ヤンマーは45%となっており、穀物の国際市況の影響を受けないのは少し不自然です。現状私が思いつく理由としては以下があります。

  • 海外での主な顧客が農家ではない
    • 庭の園芸目的の個人または公園整備目的の官公庁
  • 顧客は農家だが、農家の購買力が市況よりも別の要因の影響を強く受ける
    • 国の補助金
    • 景気による農家の資産の毀損
  • 穀物の国際市況よりも大きな要因が存在する
    • 為替による業績への影響
  • 日本市場の影響が非常に大きい

現状では想像の範囲を越えませんが、今後、説明出来るように実力をつけていきたいと思います。

今回はここまでです。