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鉄鋼業界 高炉メーカの業績について調べてみた ~新日鉄住金~

はじめに

今回は新日鉄住金について調べてみました。新日鉄住金は国内では第1位、世界では第3位の粗鋼生産量を誇る高炉メーカです(2015年時点)。新日鉄住金は2012年に新日本製鉄と住友金属工業の経営統合により発足した会社です。また、同社は2017年の2月を目処に日新製鋼を買収し、子会社にする計画となっています。

それでは新日鉄住金についてみていきましょう。

以下は目次です。

 

新日鉄住金の事業

新日鉄住金の事業は「製鉄」「エンジニアリング」「化学」「新素材」「システムソリューション」の5つのセグメントに分類されます。セグメント毎の売上高の割合を以下のグラフに示します。


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新日鉄住金 第91期 有価証券報告書より。


新日鉄住金の売上のほとんどが製鉄事業によるものであり、エンジニアリング・化学・新素材・システムソリューションの4事業の売上は全体の2割以下となっています。同社は5つのセグメントの事業を手がけてはいますが、製鉄事業に注力していることが分かります。


セグメント毎の主要品目・事業内容を新日鉄住金の第91期有価証券報告書より以下の表にまとめました。

セグメント 主要品目・事業内容
製鉄 条鋼、鋼板、鋼管、交通産機品、特殊鋼、鋼材二次製品、銑鉄・鋼塊他、製鉄事業に付帯する事業
エンジニアリング 製鉄プラント、産業機械・装置、工業炉、資源循環・環境修復ソリューション、環境プラント、水道工事、エネルギー設備プラント、化学プラント、タンク、陸上・海底配管工事、エネルギー関連ソリューション、海洋構造物加工・工事、土木工事、橋梁加工・工事、鋼管杭打工事、建築総合工事、鉄骨工事、トラス、システム建築製品、免震・制振デバイス
化学 ピッチコークス、ピッチ、ナフタリン、無水フタル酸、カーボンブラック、スチレンモノマー、ビスフェノールA、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、無接着剤FPC用銅張積層板、液晶ディスプレイ材料、有機EL材料、UV・熱硬化性樹脂材料
新素材 圧延金属箔、半導体用ボンディングワイヤ・マイクロボール、半導体封止材用フィラー、炭素繊維複合材、排気ガス浄化用触媒担体
システムソリューション コンピュータシステムに関するエンジニアリング・コンサルティング

 

新日鉄住金の業績の推移

売上高と営業利益の推移

以下のグラフに売上高の推移と営業利益率の推移を示します。

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新日鉄住金の有価証券報告書より


2010年に売上高が落ち込んでいますが、その後回復し2014年以降は2005~2009年よりも高い水準の売上高となっています。売上が落ち込む時期があったものの、この10年間全体でみると売上高は成長しています。これは新日本製鉄と住友金属工業の経営統合(2012年)によるものだと考えられます。

一方、営業利益率は2007年から2010年にかけて急激に低下し、それ以降上昇基調ではあるものの、2007年の水準には及ばない状況となっています。


以下のグラフに営業利益の推移を示します。

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新日鉄住金の有価証券報告書より


2007年~2009年および2014年~2016年の好景気には十分な営業利益をあげることが出来ていますが、2010年~2013年の不景気にはほとんど利益をあげることが出来ていません。このような営業利益の推移をみると、新日鉄住金が景気循環の影響を強く受けることが分かります。営業利益は2007年から2010年にかけて急激に低下し、それ以降上昇基調ではあるものの、2007年の水準には及ばず低迷が続いています。


売上と営業利益について以下のことが分かりました。

  • 売上高は経営統合により成長出来ているが、営業利益は成長できていない
  • 新日鉄住金の業績は景気循環の影響を受ける
  • 2007年~2009年は高い営業利益をあげられていたがそれ以降は低迷が続いている

総資産の推移

以下のグラフに総資産・自己資本比率・総資産営業利益率の推移をしめします。

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新日鉄住金の有価証券報告書より


総資産が2013年に増加していますが、新日本製鉄と住友金属工業の経営統合によるものと考えられます。また、近年では2007年頃ほど営業利益をあげられなくなっており、経営統合によって総資産が増加していることから総資産営業利益率は低下傾向にあります。一方で、自己資本比率は上昇傾向にあり、2016年3月期では43%となっています。

資産について以下のことが分かりました。

  • 総資産は経営統合によって増加している
  • 近年、営業利益があげられなくなっていること、総資産が増加したことにより総資産営業利益率は低下傾向にある
  • 自己資本比率は上昇傾向で、2016年3月期は43%であった

セグメント別の業績

以下のグラフにセグメント別の売上と利益率の推移を示します。

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新日鉄住金の有価証券報告書より

  • 注意
    • 売上および利益はセグメント間のやり取りを控除する前の値
    • 利益は、2010-3以前が営業利益、2011-3以降が経常利益
    • 都市開発事業に関しては、セグメント情報から記載がなくなったため、ここでは記載していない


製鉄事業の売上が他事業の売上に比べて圧倒的に大きいことが分かります。売上の推移についてみると、製鉄事業の売上は成長していますが、他の事業については横ばいとなっています(全体に影響を与えるような変動が無い)。


セグメントごとの売上および利益率の平均値をプロットしたグラフを以下に示します。

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新日鉄住金の有価証券報告書より

  • 注意
    • 売上・利益率の平均値は「セグメント別の売上と利益」のグラフの値から算出


製鉄事業の売上が他の事業と比べて圧倒的に大きく、利益率についても全体からみると高い水準にあることが分かります。このことから製鉄事業が新日鉄住金の柱となる事業であることが分かります。


以下のグラフにセグメント別の利益および全体に占める割合の推移を示します。

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新日鉄住金の有価証券報告書より

  • 注意
    • 利益はセグメント間のやり取りを控除する前の値
    • 利益は、2010-3以前が営業利益、2011-3以降が経常利益
    • 都市開発事業に関しては、セグメント情報から記載がなくなったため、ここでは記載していない

2016年3月期の利益に占める製鉄事業の利益の割合は80%を超えており、新日鉄住金の利益の大半が製鉄事業によるものです。しかし、製鉄事業の利益は減少傾向となっており、他の事業の利益も横ばいとなっています(全体に影響を与えるような変動が無い)。


セグメント別の業績について以下のことが分かりました。

  • 製鉄事業の売上が他の事業の売上に比べて圧倒的に大きい
  • 製鉄事業の売上が高く、また、利益率も全体の中で高い水準にあり、製鉄事業が新日鉄住金の柱となる事業である
  • 製鉄事業の売上は成長しているが、他の事業の売上はほぼ変わっていない(全体に影響を与えるような変動が無い)
  • 製鉄事業の利益は減少傾向にあり、他の事業の利益はほぼ変わっていない(全体に影響を与えるような変動が無い)
  • 2016年3月期の利益に占める製鉄事業の利益の割合は80%を超えており、新日鉄住金の利益の大半が製鉄事業によるものである

海外売上の推移

以下のグラフに地域別の売上シェアおよび売上高の推移を示します。

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新日鉄住金の有価証券報告書より

  • 注意
    • セグメント間のやりとりを控除後の値
    • 2007-3~2010-3の北米他をその他と計上


海外売上の割合は増加傾向で、2007年3月期の海外売上は27%でしたが、2016年3月期には38%まで増えています。海外の主な売上先はアジアとなっています。しかし、売上の割合が最も高いのは国内です。また、売上高についてみてみると、国内の売上高は横ばいで、海外(アジア・その他)の売上が増加しています。

海外の売上について以下のことが分かりました。

  • 海外売上の割合は増加傾向で2016年3月期には38%まで増加した
  • 海外の主な売上先はアジアである
  • 国内売上の割合が最も高い
  • 国内の売上高は横ばいだか、海外(アジア・その他)の売上高が増加している

おわりに

今回新日鉄住金について調査して以下のことが分かりました。

  • 売上は成長しているが、営業利益は成長できていない
  • 2009年までは高い営業利益をあげられていたが、それ以降は上昇基調ではあるものの2009年までの高い水準の営業利益をあげられておらず低迷が続いている
  • 経営統合により会社規模は成長している
  • 自己資本比率は上昇傾向で2016年3月期は43%である
  • 様々な事業を営んでいるが、売上高や利益の大半が製鉄事業によるものである
  • 製鉄事業の売上は成長しているが、利益は減少傾向にある
  • 海外売上の割合は増加傾向で2016年3月期は38%である
  • 国内売上が最も多いが売上高は横ばい
  • 海外売上が成長している
  • 海外売上で最も多いのがアジアである

今回はここまでです。