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鉄鋼業界 普通鋼電炉メーカの業績について調べてみた ~東京製鉄~

はじめに

今回は東京製鉄の業績について調べました。東京製鉄は国内最大手の普通鋼電炉メーカです。

それでは東京製鉄についてみていきましょう。

以下は目次です。

 

東京製鉄の事業

東京製鉄の事業は「鉄鋼」の単一セグメントです。
鉄鋼事業の事業内容を東京製鉄のホームページより以下の表にまとめました。

セグメント 主要品目・事業内容
鉄鋼 H形鋼、高規格電炉H形鋼、U形鋼矢板、I形鋼、縞H形鋼、溝形鋼、異形棒鋼、テツコラムTSC295、厚板、高規格電炉鋼板、ホットコイル、酸洗コイル、溶融亜鉛メッキコイル、縞コイル、カットシート

 

東京製鉄の業績の推移

売上高と営業利益の推移

以下のグラフに売上高の推移と営業利益率の推移を示します。

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東京製鉄の有価証券報告書より


2016年の売上は2007年と比べて減少しています。売上は2010年に大幅に落ち込んでから徐々に回復したものの、それ以前の水準までは至っていません。
また、2016年の営業利益率は2007年に対してほぼ変化がなく10%を越える高い営業利益率となっています。営業利益率は2010年に大幅に落ち込み2010年から2013年までマイナスでしたが、2014年以降は回復し、2016年に元の水準まで回復しました。

売上が2007年と比べて減少しているのは、鉄鋼の生産・販売量が減少しているからです。以下の図に半製品の生産量と売上の推移を示します。

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半製品の生産量の減少とともに売上も減少しているのが分かります。電炉は生産調整が比較的容易なのでリーマンショックによって建設需要が後退した際に減産して対応したのでしょう。その後、建設需要の回復ともに増産したものの、中国の安い鋼材が大量に入ってきたために2007年の水準まで生産量を増やせなかったと推測しています。


以下のグラフに営業利益の推移を示します。

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東京製鉄の有価証券報告書より


2016年の営業利益は2007年と比べて減少しています。2010年に営業利益が大幅に減少し、2013年までは赤字が続いています。その後の営業利益は回復傾向にありますが、2007年の水準までは回復できていません。これは売上が2007年と比べて減少しているためです(営業利益率は2007年の水準まで回復している)。


売上と営業利益について以下のことが分かりました。

  • 2016年の売上は2007年と比べて減少している
  • 売上の減少は鉄鋼の生産・販売量が減少したことによる
  • 営業利益率は2010年~2013年までマイナスであったが、その後元の水準まで回復している
  • 売上が減少したために、2016年の営業利益は2007年と比べて減少している

総資産の推移

以下のグラフに総資産・自己資本比率・総資産営業利益率の推移をしめします。

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東京製鉄の有価証券報告書より


2013年に総資産が大幅に減少したことにより、2016年の総資産は2007年に比べて半分以下の額となっています。2013年の総資産の減少は主に田原工場の減損処理のために生じています(鋼板類の市況低迷により極めて低い操業率が続いていたため減損処理を行わざるを得なくなった)。
また、2016年の自己資本率は2007年と比べてほぼ変化がなく70%となっています。非常に高い自己資本率であり、財務は盤石です。2013年に自己資本比率が悪化していますが、その後元の水準まで回復しています。
2016年の総資産営業利益率は2007年と比べてほぼ変化がありません。総資産営業利益率は2010年から2013年にかけて低迷していましたが、総資産が大幅に減少し、営業利益が回復したことにより元の水準に回復しています。

資産について以下のことが分かりました。

  • 2016年の総資産額は2007年と比べて半分以下の額まで減少した
  • 総資産額の減少の主因は田原工場の減損処理である
  • 2016年の総資産営業利益率は2007年と比較してほぼ変化がない
  • 2016年の自己資本比率も2007年と比較してほぼ変化がない
  • 2016年の自己資本比率は70%と極めて高く、財務は盤石と言える

海外売上の推移

以下のグラフに地域別の売上シェアおよび売上高の推移を示します。


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東京製鉄の有価証券報告書より

  • 注意
    • 2011年以降は有価証券報告書に海外売上の記載が無いため、海外売上を0としている


2008年に2割程度の海外売上があったのが最大で、それ以降はほぼすべてが国内での売上です。


海外の売上について以下のことが分かりました。

  • 同社の売上の内、ほぼすべてが国内での売上である

何が東京製鉄の業績に影響を与えているのか

東京製鉄は製造原価明細書を有価証券報告書に添付しており、生産した鉄鋼の量についても公開しているため、鋼材1トン当たりに占める各種費用を知ることが出来ます。この情報から「何が東京製鉄の業績に影響を与えているのか」をみていきたいと思います。

以下のグラフに鋼材、鋼片1トン当たりの各種費用および利益の推移を示します。

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有価証券報告書より作成

  • 注意
    • 「鋼材1トン当たりの販売価格 - 原材料費」からメタルスプレッド(利ザヤ)を算出した
    • 経費は水道料金および電力料金のことである


グラフをみると「メタルスプレッドおよび経費」と営業利益に関係があることがわかります。例えば、2010年から2013年にかけてメタルスプレッドが減少し、さらに経費が増加したことにより、営業利益が悪化しています。また、2014年以降にメタルスプレッドが増加し、さらに経費が減少したことにより、営業利益が改善しています。このことから、メタルスプレッドと経費が営業利益に影響を与えていることが分かります。
さらに、原材料費が占める割合が経費と比べて大きいことから営業利益に与える影響は、原材料費(スクラップ鉄価格)の方が経費(電力・水道料金)と比べて大きいと考えられます。

したがって、東京製鉄の業績には鋼材・鉄スクラップの市況価格や電力・水道料金が関係しており、特に鋼材・鉄スクラップの市況価格が大きな影響を与えると考えられます。

ここでは以下のことが分かりました。

  • メタルスプレッド(鋼材の販売価格 - 鉄スクラップ価格)と電力・水道料金が営業利益に影響を与えている
  • 特に鋼材・鉄スクラップの市況価格が業績に影響を与えている

おわりに

今回日新製鋼について調査して以下のことが分かりました。

  • 2016年の売上は2007年と比べて減少している
  • 営業利益率は2010年~2013年までマイナスであったが、その後元の水準まで回復している
  • 2016年の営業利益は2007年と比べて減少している
  • 2016年の総資産額は2007年と比べて半分以下の額まで減少した
  • 総資産額の減少の主因は田原工場の減損処理である
  • 2016年の総資産営業利益率は2007年と比較してほぼ変化がない
  • 2016年の自己資本比率も2007年と比較してほぼ変化がない
  • 2016年の自己資本比率は70%と極めて高く、財務は盤石と言える
  • メタルスプレッド(鋼材の販売価格 - 鉄スクラップ価格)と電力・水道料金が営業利益に影響を与えている
  • 特に鋼材・鉄スクラップの市況価格が業績に影響を与えている

今回はここまでです。