IHIの事業
IHIは「資源・エネルギー・環境」「社会基盤・海洋」「産業システム・汎用機械」「航空・宇宙・防衛」の4つの事業を営んでいます。
各事業が売上に占める割合を以下の図に示します。
IHIの有価証券報告書より
社会基盤・海洋事業の売上が他と比べて低くなっていますが、他の事業の売上はそれほど差がありません。
各事業の内容をIHIの有価証券報告書より以下の表にまとめました。
セグメント | 主要品目・事業内容 |
---|---|
資源・エネルギー・環境 | ボイラ,原動機プラント,陸舶用原動機,舶用大型原動機,ガスプロセス(貯蔵設備,化学プラント),原子力(原子力機器),環境対応システム,医薬(医薬プラント)等の製造,販売,サービスの提供等 |
社会基盤・海洋 | 橋梁,水門,シールド掘進機,交通システム,都市開発(不動産販売・賃貸),F-LNG(フローティングLNG貯蔵設備),海洋構造物等の製造,販売,サービスの提供等 |
産業システム・汎用機械 | 舶用機械,物流システム,運搬機械,パーキング,製鉄機械,産業機械,熱・表面処理,製紙機械,車両過給機,圧縮機,分離装置,舶用過給機,建機,農機,小型原動機等の製造,販売,サービスの提供等 |
航空・宇宙・防衛 | 航空エンジン,ロケットシステム・宇宙利用(宇宙開発関連機器),防衛機器システム等の製造,販売,サービスの提供等 |
IHIの業績の推移
売上高と営業利益の推移
以下のグラフに売上高の推移と営業利益率の推移を示します。
IHIの有価証券報告書より
以下のグラフに営業利益の推移を示します。
IHIの有価証券報告書より
売上はやや増加しているか、横ばいです。
営業利益は2007-3から2008-3まで赤字でしたが、それ以降は良くなっています。ただ、利益が成長しているかというとそうではありません。
また、営業利益率は高くても5%程度、平均すると2.6%で低いです。
総資産の推移
以下のグラフに総資産・自己資本比率・総資産営業利益率の推移をしめします。
IHIの有価証券報告書より
総資産はやや増加傾向にあります。自己資本比率は20%程度で低いです。
セグメント別の業績
以下はセグメント別の売上と利益率の推移を示すグラフと、セグメントごとの売上および利益率の平均値を示すグラフである。
IHIの有価証券報告書より
- 注意
- 数値はセグメント間のやりとりを消去前の値
- 事業編成が過去に何度か変更されたため、独自に数値を合算し値を算出しており、正確なデータではない
- 2007-3~2010-3の「エネルギー・プラント」を「資源・エネルギー・環境」と記載
- 2011-3~2012-3の「資源・エネルギー」を「資源・エネルギー・環境」と記載
- 2007-3~2010-3の「不動産」および「船舶・海洋」を「社会基盤・海洋」と記載
- 2011-3~2012-3の「船舶・海洋」および「社会基盤」を「社会基盤・海洋」と記載
- 2007-3~2010-3の「機械」および「物流・鉄構」を「産業システム・汎用機械」と記載
- 2011-3~2012-3の「物流・産業機械」および「回転・量産機械」を「産業システム・汎用機械」と記載
- 2007-3~2012-3の「航空・宇宙」を「航空・宇宙・防衛」と記載
- 2007-3~2012-3の「その他」を削除
IHIの事業の中で、売上の規模が大きく、収益性が良いのは「航空・宇宙・防衛」および「産業システム・汎用機械」事業です。
ただし、収益性がよいといっても5%程度で特別よいというわけではありません。
「資源・エネルギー・環境」事業は売上の規模はありますが、収益性の面で上記2つの事業に劣ります。
「社会基盤・海洋」事業は売上の規模、収益性の双方の面でよくありません。
以下のグラフにセグメント別の利益および全体に占める割合の推移を示します。
IHIの有価証券報告書より
- 注意
- 同上
「航空・宇宙・防衛」および「産業システム・汎用機械」事業が安定して利益を稼いでいる一方で、「資源・エネルギー・環境」「社会基盤・海洋」事業は赤字となることがあり、不安定です。
海外売上の推移
以下のグラフに地域別の売上シェアおよび売上高の推移を示します。
IHIの有価証券報告書より
- 注意
- 数値はセグメント間のやりとりを消去後の値
- 大まかな傾向を見るため、一部正確なデータではない
- 2011-3~2016-3の米国を北米と記載
海外売上比率はやや増加傾向にあり、2016-3は51%でした。国内売上はほぼ増減がありませんが、北米・アジア・ヨーロッパの売上が増加しています。
おわりに
今回IHIについて調査して以下のことが分かりました。
- 売上は若干増加しているが、利益はそうでもない
- 利益率は高くて5%、平均2.6%とそれほどよくはない。
- 海外売上比率はやや増加しており、2016-3で51%。
- 国内の売上は変わらないが、海外の売上が伸びている。
今回はここまでです。