好奇心の種を育てる

興味があることを書き留め、調べてみるブログ

スポンサーズリンク


栗田工業の業績について調べてみた

栗田工業の事業

栗田工業は「水処理薬品」「水処理装置」の2つの事業を営んでいます。

各事業が売上に占める割合を以下の図に示します。

f:id:quwequwe:20170312054412j:plain
栗田工業の有価証券報告書より



各事業の内容を栗田工業の有価証券報告書より以下の表にまとめました。

セグメント 主要品目・事業内容
水処理薬品 ボイラ薬品、冷却水薬品、空調関係水処理薬品、石油精製・石油化学向けプロセス薬品、紙・パルプ向けプロセス薬品、鉄鋼向けプロセス薬品、船舶関連水処理薬品、排水処理薬品、汚泥脱水処理薬品、土木建築関連処理薬品、ダイオキシン処理薬品、重金属固定剤、逆浸透膜処理薬品、薬注装置、イオン交換樹脂、メンテナンス・サービス、水質分析
水処理装置 超純水製造装置、医薬用水製造装置、純水装置、復水脱塩装置、ろ過装置、純水装置・排水処理装置・各種水処理装置の規格型商品、電子・鉄鋼・石油精製・石油化学・電力・紙・パルプ・医薬品・食品など各種産業の用水・排水処理装置、排水回収装置、工業用高性能液体クロマトグラフィー装置、資源化装置、海水淡水化装置、プール関連設備、イオン交換樹脂、逆浸透膜、限外ろ過膜、半導体製造プロセス向け装置、浄水器、超純水供給、メンテナンス・サービス、精密洗浄、化学洗浄、水処理施設の運転・維持管理、土壌・地下水浄化、家庭用飲料水

栗田工業の業績の推移

売上高と営業利益の推移

以下のグラフに売上高の推移と営業利益率の推移を示します。

f:id:quwequwe:20170312055051j:plain
栗田工業の有価証券報告書より


以下のグラフに営業利益の推移を示します。

f:id:quwequwe:20170312055058j:plain
栗田工業の有価証券報告書より


売上は横ばいです。

営業利益、営業利益率は2013-3以降、減少しています。

営業利益率の平均は12%と高いです。

総資産の推移

以下のグラフに総資産・自己資本比率・総資産営業利益率の推移をしめします。

f:id:quwequwe:20170312055256j:plain
栗田工業の有価証券報告書より


総資産・自己資本比率ともに増加しています。

自己資本比率は非常に高く、2016-3の自己資本比率は76%程度です。

セグメント別の業績

以下はセグメント別の売上と利益率の推移を示すグラフと、セグメントごとの売上および利益率の平均値を示すグラフである。


f:id:quwequwe:20170312055528j:plain
f:id:quwequwe:20170312055535j:plain
栗田工業の有価証券報告書より

  • 注意
    • 数値はセグメント間のやりとりを消去前の値


以下のグラフにセグメント別の利益および全体に占める割合の推移を示します。

f:id:quwequwe:20170312055655j:plain
f:id:quwequwe:20170312055701j:plain
栗田工業の有価証券報告書より

  • 注意
    • 数値はセグメント間のやりとりを消去前の値


「水処理薬品」「水処理装置」事業の売上はともに変化がありません。
また、「水処理薬品」「水処理装置」事業の利益率がともに2013-3以降に低下しています。

稼ぎ出す利益の額は「水処理装置」事業の方が「水処理薬品」に比べて大きくなっています。


海外売上の推移

以下のグラフに地域別の売上シェアおよび売上高の推移を示します。

f:id:quwequwe:20170312060012j:plain
f:id:quwequwe:20170312060016j:plain
栗田工業の有価証券報告書より

  • 注意
    • 数値はセグメント間のやりとりを消去後の値
    • 2007-3~2014-3の「ヨーロッパ」を「EMEA」と記載


国内の売上は減少している一方で、海外の売上、特にアジアが増加しています。
海外売上比率は増加しており、2016-3は29%でした。


おわりに

今回栗田工業について調査して以下のことが分かりました。

  • 売上は横ばい
  • 営業利益・営業利益率が減少している
  • 総資産は増加傾向である
  • 自己資本比率も増加しており、2016-3は76%であった
  • 稼ぎ出す利益の額は「水処理装置」事業の方が「水処理薬品」に比べて大きい
  • 海外売上比率は増加しており、2016-3は29%だった


売上は横ばいですが、内訳をみると国内売上が減少し海外売上が増加するという動きがあります(緩やかではありますが)。
営業利益・営業利益率は2013-3以降に減少しており、栗田工業は成長できていません。


投資判断を下す際に、考えるべきは営業利益・営業利益率が低下している原因です。

  • 競争が激化したため
  • 海外進出を積極的に進めているが、海外の事業がまだ軌道に乗っておらず利益が出ていないため

競争の激化なら、投資するべきではありません。一方、海外の事業が軌道にのっていないだけなら投資するのがおもしろい会社です。


今回はここまでです。

追記

営業利益・営業利益率低下の原因

営業利益・営業利益率低下の原因を探るために有価証券報告書を読んでみました。内容を以下にまとめます。

  • 2013-3(第77期)
    • 全体
      • 国内、主要顧客の設備投資・工場操業度が低水準
      • 海外、東アジアの電子産業の大型設備投資の縮小・延期が顕在化
      • 海外、特にアジアを中心に拠点の整備・人員の拡充を進めるなど事業拡大に努めたが、収益の拡大が十分に図れなかった
    • 水処理装置
      • 東南アジアでの営業活動強化のためマレーシア営業所を開設
      • 顧客工場の統廃合、操業度低下
    • 水処理薬品
      • 顧客工場の統廃合、操業度低下
      • 販管費の増加
  • 2014-3(第78期)
    • 全体
      • 国内は主要顧客の工場操業度低下、低調な設備投資
      • 海外は東アジア、東南アジアの水処理需要の拡大
      • 海外は電子産業分野の価格競争激化、不採算案件の発生による減価率悪化、販管費・一般管理費の増加、顧客の設備投資中止・設計変更による受注取り消し
    • 水処理装置
      • 全体と同様
    • 水処理薬品
      • 海外では、東南アジア、中国を中心に、冷却水薬品、排水処理薬品、逆浸透膜処理薬品の増加
      • 海外の人員増など事業拡大のための経費増により販売費・一般管理費が増加し、減益となった
  • 2015-3(第79期)
    • 全体
      • 国内は主要顧客の生産活動と設備投資が低調
      • 海外は東アジア・東南アジアで水処理需要が伸びた
    • 水処理装置
      • 国内では超純水供給事業、メンテナンス・サービス事業は、主要顧客において工場操業度が回復
      • 海外では中国、台湾の電子産業向け大型案件を中心に受注高・売上高ともに増加
    • 水処理薬品
      • 海外では、中国や東南アジア諸国を中心に新規顧客の開拓が進み、受注高・売上高ともに増加
  • 2016-3(第80期)
    • 全体
      • 国内では企業の設備投資は一部持ち直した
      • 海外では、東アジア・東南アジアで水処理需要が伸びた
    • 水処理装置
      • 海外では、中国、台湾及び韓国の電子産業分野で大型案件を中心に受注高は大幅に増加。一方、売上高は大型案件の売上計上一巡により減少。
    • 水処理薬品
      • 国内全体の受注高・売上高は横ばい
      • 欧州の水処理薬品事業を買収(「KEAG」グループ)
      • 海外では、中国や東南アジアの新規顧客の開拓、KEAGグループの連結により受注高・売上高ともに大幅な増加
      • 買収事業の取得原価の当初配分額の見直しによる一時的な費用増加やKEAGグループの新規連結に伴うのれん及び技術関連資産の償却費計上により、減益


上記の内容から分かることは以下のとおりです。

  • 国内の水処理需要は縮小している
  • 海外の水処理需要はアジアを中心に拡大している
  • 栗田工業は海外進出に力を入れている
  • 海外での事業は苦戦している

栗田工業の営業利益・営業利益率が低迷したのは海外進出を積極的に進めたが、それが利益につながっていないためだと分かります。

栗田工業の海外進出は評価できます。利益は思うように出ていませんが、海外売上は伸びています。今後、海外での事業規模が大きくなるに連れて利益が出るようになることは十分に考えられます。今後の展開が非常に楽しみです。