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日本ケアサプライ 事業内容と業績推移

要点

  • 日本ケアサプライは福祉用具のレンタル卸を営んでいる
  • レンタル卸は顧客にとってメリットが大きく、ストック型の収益を得られるため安定した収益が期待できる
  • レンタル卸は経営体力が要求され、レンタル資産のコストとリスクを負わなくてはならない
  • 福祉用具レンタル市場は拡大している
  • 日本ケアサプライの収益性はおおむね問題ないが、原価率が上がっているため利益率は低下している
  • レンタル資産が急激に増えているが、レンタル資産が売上を生む効率は低下している

事業内容

日本ケアサプライは主に福祉用具サプライ事業を営んでいる

日本ケアサプライは以下の2つの事業を営んでいます。

事業セグメント 内容
福祉用具サプライ 介護保険制度の対象となる福祉用具をレンタル業者に貸与している。または、介護保険利用者に福祉用具を貸与している
在宅介護サービス デイサービス(日帰りで施設に通い、食事や入浴など日常生活上の介護や機能訓練等を受けることのできるサービス)や訪問看護・リハビリサービスを提供している。また、デイサービス事業者向けに配食サービスを行っている

 

福祉用具サプライ事業が2017-3期の売上の96%を占めており、日本ケアサプライは福祉用具サプライ事業のみをしているとみても問題ありません。

そのため、本記事では福祉用具サプライ事業についてのみ記載しています。

福祉用具サプライ事業

事業概要と特徴

福祉用具サプライ事業では、介護用ベッドや車いすなどの福祉用具をレンタル業者に貸与しています。実際には、介護保険利用者に直接福祉用具を貸与することもありますが、主な顧客はレンタル業者となっています。

また、貸与対象は介護保険制度の対象となる福祉用具となっています。


事業の概要図は以下の通りです。

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日本ケアサプライのホームページより

 

  • 福祉用具を販売するのではなく、レンタルしている

というのが事業の特徴です。


日本ケアサプライは福祉用具の製造・販売によって収益をあげるのではなく、製造された福祉用具を使ったサービスを顧客に提供することで収益をあげています。このような事業の収益は顧客がサービスを利用し続ける限り継続して発生します。こういう収益のあげ方をストック型と呼び、ストック型の事業は収益が安定しやすいという特徴があります。


顧客がこのサービスを利用するメリットとして

  • ベッドや車いすを購入するお金を使わなくて済む
  • レンタル需要が減ったときは借りる量を減らすだけでよい

があります。

福祉用具のレンタルサービスは顧客から見るとメリットが大きく、うれしいサービスといえます。顧客からするとメリットが大きいサービスであり、継続した利用が見込めるため、安定した収益が期待できます。


一方で、レンタル事業を営む際にはベッドや車いすの購入費用、在庫の管理・メンテナンスコスト、需要が減った際の在庫リスクを負わなくてはなりません。さらに、ベッドや車いすを配送・回収するための物流や営業のための拠点も必要です。

そのため、この事業で利益を出すためには

  • 十分な売上をあげるための営業規模
  • 営業や物流の拠点の整備や在庫に関わるリスクやコスト負えるだけの経営体力

が必要です。

日本ケアサプライは十分な規模と経営体力を有している

日本ケアサプライは全国に営業拠点を持っており、140億円の売上があります。しかも、最大手です。十分な売上と営業規模を持っているといえます。以下は日本ケアサプライの営業拠点です。

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日本ケアサプライ 株主通信より


また、日本ケアサプライの総資産は約160億円、そのうち、自己資本が約110億円と自己資本比率は約70%と高いです。
2017-3期の現金同等物は約33億円、有利子負債は約15億円となっており、負債は多くありません。
従って、日本ケアサプライは十分な経営体力を持っているといえます。

福祉用具サプライ事業の事業環境

市場規模は増加している

福祉用具レンタルの市場規模が直接わかるような情報はありませんでした(有料であればありましたが)。そのため、福祉用具貸与の介護保険給付額を福祉用具レンタルの市場規模と仮定し、調査しました。

  • 日本ケアサプライは介護保険制度の対象となる福祉用具を取り扱っている
  • 福祉用具をレンタルするなら、介護保険制度をまず利用するはず


福祉用具貸与の介護保険給付額の推移は以下の通りです。

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厚生労働省 社会保障審議会 第66回資料より


2014年時点の給付額は約2700億円なので、介護保険制度の自己負担10~20%を考慮すると市場規模は3000億円~3300億円程度であると推定できます。また、市場規模は成長しており、事業環境は良いといえます。

市場規模が成長しているのは、要介護者が増加しているからです。以下は要介護者数の推移です。

f:id:quwequwe:20171101130838p:plain
厚生労働省 社会保障審議会 第59回資料より


要介護者数は年々増加しています。

要介護者数はこれからも増加を続けるので、市場規模も成長し続けるでしょう。


市場規模は介護保険制度の影響を受ける

要介護者数が増加した結果、市場規模も成長しているわけですが、平成18年~19年にかけて一時的に市場規模が縮小しています。要介護者数は減少していないのに、なぜ、市場規模が縮小しているのでしょうか。

それは平成18年に介護保険制度の変更があったからです。それ以前は要介護者であれば福祉用具レンタルの際に保険を適用することができましたが、それ以降は、軽度認定者(要支援者、要介護1)は原則としてベッドや車いすのレンタルに保険を適用できなくなってしまいました。

その結果、介護保険制度を使って福祉用具をレンタルする人が減り、市場規模が縮小してしまったというわけです。

この時の介護保険制度の変更内容については、以下のサイトに詳しく書いてあります。

介護保険が使えない福祉用具とは。:介護用品・介護機器・福祉用具の基本を知る


このように福祉用具レンタルの市場規模は介護保険制度の影響を強く受けるため、国の動向に注意する必要があります。

福祉用具サプライ事業の成長可能性

福祉用具レンタルの市場規模が成長するのと伴い、事業も成長していくでしょう。
成長市場で事業をしており、参入障壁も低くはないので、無難に事業拡大をはかっていくことができます。

ただし、数年で2倍とか3倍とかいうような急激な成長は望めないでしょう。じっくりと事業規模を拡大させながら利益も増やしていくようなイメージです。

一番怖いのは介護保険制度の改革によって、介護福祉貸与の支給額が削減されることですが、要介護者数はこれからどんどん増えていくので、長期的な成長トレンドは崩れないでしょう。

日本ケアサプライの強み

まず、福祉用具の販売と比べると

  • 顧客が福祉用具購入のためのに大量の資本投下を必要としない
  • 顧客は福祉用具の需要が無くなったら、レンタルを辞めるだけでいい

という強みがあります。

顧客ごとに具体化すると、福祉用具レンタル業者の場合は

  • 小資本からでも事業を始めることができる
  • 需要低迷時の在庫リスクがない
  • 福祉用具のメンテナンスや管理体制を整える必要がない

というメリットがあります。


介護保険利用者の場合は

  • いつまで使うかわからないものなのでレンタルにすることでリスクを低減できる
  • まとまったお金がなくても福祉用具を利用できる
  • 症状に合わせて利用する福祉用具のランクを変えていくことができる
  • 福祉用具が壊れても、別のものをレンタルしなおせばよい

というメリットがあります。

このように、顧客から見たときに購入よりもレンタルのほうがメリットが大きいというのが、福祉用具サプライ事業の強みになります。


また、福祉用具レンタル卸の中での競争力という観点でいうと、日本ケアサプライは最大手であり競争力があります。
最大手であり規模が大きいという点が重要で、規模によって効率化を図りコストを低減させることができるため、非常に有利です。ただし、福祉用具レンタル市場でのシェアはそこまで高くないため、他社と比べて圧倒的に強いというわけではありません。

そのため、日本ケアサプライが業界内での競争力を維持するためには、現在の最大手という地位を活かしてシェアを伸ばし(規模をさらに拡大し)、競争力をさらに高めていく必要があります。

福祉用具サプライ事業の競合ケースと対応策

日本ケアサプライは、福祉用具をレンタル業者向けにレンタルしています。このような業態を福祉用具レンタル卸と呼んでいます。

福祉用具レンタル卸と競合する業態または会社としては以下が考えられます。

  • 福祉用具製造・販売
  • 福祉用具レンタル
  • 福祉用具レンタル卸
  • 規模と資本を兼ね備えた他の業界の会社

ここでは競合が日本ケアサプライの利益を脅かすケースとしてどのようなものがあるか、競合に対抗するために日本ケアサプライがとるべき方法ついて考えます。

福祉用具製造・販売

介護保険利用者は、福祉用具を買うのか、それともレンタルするのかを選択できます。福祉用具の購入が増えれば、その分だけ福祉用具レンタルの市場規模が小さくなるので、日本ケアサプライにとってはマイナスの影響を受けることになります。例えば、パラマウントベッドがレンタルするよりも低価格で顧客に介護用ベッドを販売したとすると、介護用ベッドのレンタルは減少するため、日本ケアサプライのレンタル業者向けの売上も減少することになります。

また、福祉用具製造・販売を行っている会社は福祉用具のレンタルやレンタル卸に参入する能力を持っています。福祉用具の消毒やメンテナンスのための専門知識もあるし、レンタルに使える流通網や営業拠点があるからです。つまり、一定の規模を持つ福祉用具の製造・販売会社はレンタルやレンタル卸に新規参入し、日本ケアサプライのライバルになる可能性があります。

ただし、福祉用具の製造・販売会社がレンタル事業に参入すると、福祉用具の販売と競合してしまうため、新規参入することはあってもレンタル・レンタル卸を事業の主力に据えることはないでしょう。製造・販売がうまくいっている場合はなおさらです。

福祉用具レンタル

福祉用具レンタル会社は日本ケアサプライの顧客ですが、利益率を向上させるために日本ケアサプライの提供するサービス(福祉用具の調達・保管・メンテナンス・消毒)を内製化する可能性があります。内製化によって、日本ケアサプライの売上が減少するだけでなく、レンタル会社がレンタル卸に参入し競合他社になってしまいます。特に、規模が大きく資本的にも余裕があるレンタル会社が内製化をする可能性が高いです。

福祉用具レンタル卸

日本ケアサプライと同じ事業形態であり、完全に競合します。全国展開しており、同社よりも低価格で福祉用具をレンタルするような会社が出てきた場合、日本ケアサプライのシェアを奪う可能性が高いです。

規模と資本を兼ね備えた他の業界の会社

福祉用具レンタル卸に参入し利益を上げるには

  • 十分な売上をあげるための営業規模
  • 営業や物流の拠点の整備や在庫に関わるリスクやコスト負えるだけの経営体力

が必要です。

これは大きなハードルであり、参入障壁は高いといえます。しかし、この2つを満たした会社が福祉用具レンタル卸を旨味のある事業だと認識し、新規参入すれば日本ケアサプライにとって大きな脅威になります。

福祉用具レンタルの市場規模は3300億円程度で、最大手の日本ケアサプライの売上は144億円です。最大手ですらシェア5%だとすると、後発の会社であっても挽回するチャンスは十分あります。他の業界で大きな売上と利益を上げており、全国に営業拠点や物流網がある会社が新規参入したとすれば、144億程度の売上しかない日本ケアサプライは競争に敗れてしまうかもしれません。

競合に対抗するにはどうするべきか

競合によって日本ケアサプライの利益が脅かされるケースは以下の通りです。

No 脅威となる競合のケース
1 製造・販売会社がレンタルよりも低価格で福祉用具を販売する
2 製造・販売会社がレンタル・レンタル卸に参入する
3 福祉用具レンタル会社が福祉用具レンタル卸の機能を内製化する
4 福祉用具レンタル卸会社がより低価格でサービスを提供する
5 他業界の大手が福祉用具レンタル卸に新規参入する


このようなケースを防ぐ、または対応する方法には

  1. 福祉用具レンタル会社向けのサービスを充実させ、日本ケアサプライへの依存度を高める
  2. 介護保険適用者にとって魅力的な福祉用具をレンタル対象に加える(差別化された商品)
  3. 規模の拡大によってコストを下げ、福祉用具を低価格でレンタルする

があります。

これらの方法の中で最も効果があり、日本ケアサプライに適しているのは3.低価格化です。

まず、価格こそが最も顧客に影響力のある差別化要因です。サービスの充実や差別化された商品も重要ですが、価格にはかないません。

また、低価格化は上記のすべてのケースに対応することができます。

さらに、価格競争においては規模で優れる日本ケアサプライが非常に有利です。規模が大きければ大きいほど工場の稼働率を上げてコストの低減をはかることができるうえ、工場の稼働が増えれば経験の蓄積によって生産性が向上するからです。コストを下げることによって価格が下がり、さらに売上を伸ばすことができるため、さらにコストが下がるという好循環を生むことができるのもこの方法の優れた点です。

従って、日本ケアサプライは規模の拡大によってコストを下げて、レンタルサービスの低価格化を推し進めるべきといえます。それも出来る限り早くにです。他社が追い付こうと思えないくらいの差を早々につけてしまわないと、強力な競争相手を生んでしまうかもしれません。

業績と財務の推移

注意

2009-3期以降は連結決算の数値、それより前は単独決算の数値を用いています。したがって、厳密にはデータの連続性はありません。予めご了承ください。

売上と利益

日本ケアサプライの売上と営業利益率の推移を以下のグラフに示します。

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日本ケアサプライの有価証券報告書より


売上が増加している一方で営業利益率が低下しています。2005-1期には25%もあるのに2017-3期には10%程度まで低下しています。
営業利益率10%は高い水準ですが、低下している原因が気になります。



売上に対する原価と費用の割合推移を以下のグラフに示します。

f:id:quwequwe:20171108075706g:plain
日本ケアサプライの有価証券報告書より

2005-1期と2017-3期間で営業利益率が低下した理由は原価率が増えているからです。

  • 原価率は50%から60%へ10%も増えている
  • 販管費率は増えていない

従って、原価率の増加が営業利益率低下の原因といえます。

しかし、減価償却費やレンタル売上原価が売り上げに占める割合は変わっていないため、レンタル関係以外の原価が増加していることになります。


原価の増加分が何かについては、日本ケアサプライが開示している情報からは分かりませんでした。IRに質問するつもりです。

福祉用具貸与の給付金額と業績の関係

以下のグラフに、日本ケアサプライの業績と福祉用具貸与の給付金額の推移を示します。


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日本ケアサプライの有価証券報告書と厚生労働省 社会保障審議会 第66回資料より


日本ケアサプライの売上と福祉用具貸与の給付金額とに相関があることがわかります。しかし、福祉用具貸与の給付金額が増えているほどには売上は増加していません。

総資産と自己資本比率の推移

日本ケアサプライの総資産と自己資本比率の推移を以下のグラフに示します。

f:id:quwequwe:20171108084332g:plain
日本ケアサプライの有価証券報告書より

総資産は増加傾向にありますが、自己資本比率は減少傾向にあります。
自己資本比率は減少しているものの70%程度あり、十分高い水準です。


また、資産の内容は大きく変化しています。
以下のグラフは資産の内訳推移です。

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日本ケアサプライの有価証券報告書より

流動資産が減り、レンタル資産が大きく増加しているのがわかります。
レンタル資産への積極的な投資をしていることがうかがえます。

 

キャッシュ・フローの推移

概要

日本ケアサプライの各種CFおよび現金同等部と有利子負債の推移を以下のグラフに示します。
有価証券報告書では、レンタル資産の取得が営業CFの項目に計上されていましたが、レンタル資産の取得は投資活動として計上したほうが理解しやすいと考え、ここでは投資CFに計上してグラフを作成しています。


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日本ケアサプライの有価証券報告書より

  • 営業CFが継続してプラスとなっており、安定した現金収入があることがわかる
  • 近年、投資を積極的に行っており、営業CFを超える投資をしているために、現金同等物が減少している
  • 長らく有利子負債は無かったが、投資のための資金調達として2016-3期に15億円を借入している

 

営業CF

日本ケアサプライの営業CFの内訳の推移を以下のグラフに示します。


f:id:quwequwe:20171109021917g:plain
日本ケアサプライの有価証券報告書より

  • 営業CFは安定してプラスになっている。安定してお金が入ってくるビジネスをしているということ
  • 減価償却費が営業CFの大半を占めている

 

投資CF

日本ケアサプライの営業CFの内訳の推移を以下のグラフに示します。

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日本ケアサプライの有価証券報告書より

  • レンタル資産の取得が投資CFの大半を占めている
  • レンタル資産以外の設備投資は大した額を投じていない
  • M&Aによる成長ではなく、オーガニックな成長を目指している


レンタル資産への投資が非常に大きいです。その結果、レンタル資産の総額は以下のグラフのように増えています。

f:id:quwequwe:20171109025753g:plain
日本ケアサプライの有価証券報告書より


さて、このグラフからレンタル資産が毎年どの程度使えなくなり廃棄されているかを推定することができます。

レンタル資産の増加量 = レンタル資産の取得額 - レンタル資産の廃棄額

となるため、レンタル資産の取得額からレンタル資産の増加量を引くことで、レンタル資産の廃棄額がわかります。計算してみると、おおよそレンタル資産の総額の10%程度が毎年廃棄されているようです。

毎年レンタル資産の10%に相当する投資をしないとレンタル資産が減っていってしまうということです。
この10%をレンタル資産の維持コストと呼ぶことにします。


推定したレンタル資産の維持コストと、レンタル資産の取得額を比べると以下のグラフのようになります。

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日本ケアサプライの有価証券報告書より

レンタル資産の維持コストよりも多くの投資をしていることがわかります。また、レンタル資産が増えていることに伴って維持コストも増えています。


このように、多大な投資をしてレンタル資産を増やしているわけですが、このレンタル資産はどの程度売り上げに貢献しているのでしょうか。

レンタル資産の総額の何%の売上が発生しているのかを示したのが以下のグラフです。
レンタル売上については継続したデータが入手できなかったため、ここでの売上は日本ケアサプライの総売上を用いています。

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日本ケアサプライの有価証券報告書より


2007-1期はレンタル資産に対して80%程度の売上がありましたが、2017-3期は60%に満たない売上しか生み出せていません。
要するにたくさん投資をしてレンタル資産を増やしてはいるものの、過去に比べてレンタル資産からお金を生むことができていないということです。

  • レンタル単価が下がった
  • レンタル資産の稼働率が下がった

といった原因が考えられますが、日本ケアサプライの開示情報からは原因がわかりません。IRに質問しようと思います。

財務CF

日本ケアサプライの財務CFの内訳の推移を以下のグラフに示します。

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日本ケアサプライの有価証券報告書より

  • 借入によるものがほとんどない。安定した営業CFがあるため、外部からの資金調達をあまり必要としていない
  • 大きな投資を行うために2016-3期に15億円の借入をしている
  • 財務CFの大部分が株式に関するもの。配当金の支払いや自社株買い

まとめ

福祉用具サプライ事業は

  • レンタル資産の維持コストが大きく
  • レンタル資産に関するリスクも大きい

といった悪い点がありますが

  • レンタルサービスは顧客にとってメリットが大きい
  • ストック型のビジネスで安定した収益を見込める
  • 高齢化に伴い市場も成長している
  • レンタル卸では最大手

といった良い点がある有望な事業です。

市場の拡大とともに無難に売り上げを伸ばして成長していくでしょう。


実際に日本ケアサプライは福祉用具サプライ事業から安定した現金収入を得ており、借入に頼らない経営ができています。
営業利益率は低下傾向にあるものの10%もあり、収益性は悪くありません。また、売り上げも増えています。



上記から、日本ケアサプライは投資対象としては魅力的です。

しかし、以下の原因について確認する必要があります。

  • 売上原価率が上昇している
  • 過去に比べるとレンタル資産が売上を生まなくなってる


今回はここまでです。

追記 IRに質問しました

以下3点について質問しました。

  • レンタル資産が売上を生まなくなっている理由
  • 原価率が上がっている理由
  • 福祉用具レンタル卸の最大手の日本ケアサプライはどのくらいシェアがあるのか

レンタル資産が売上を生まなくなっている理由

以下2つが原因ということでした

  • レンタル資産の稼働率が下がっている
  • レンタル単価が下がっている

稼働率の詳しい数値は分かりませんでしたが、全国を網羅するために拠点を整備していくのに伴って、無駄な在庫が出てきてしまうということでした。
各拠点に十分な数の在庫を配置すると、結果的に稼働率が下がるということでしょう。

レンタル単価は相当下がっているということでした。
2006年ごろというのは介護保険制度が始まったばかりで、競争相手もおらず、レンタル単価も高かった。
しかし今は競争が激しくなり、レンタル単価も下がってしまった。


厚生労働省の公表資料によると、レンタル単価の推移は以下のようになっています。

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厚生労働省の資料より

 
介護用ベッドや車イスなどの単価が1割~2割程度下がっています。
競争が激しくなり、レンタル単価が下がっているのは確かなようです。



2006年ごろは競争相手も少なくレンタル単価も高かった良い時期だったが、今は違うということがわかりました。

原価率が上がっている理由

  • まず、レンタル単価低下によって、レンタルに関する原価率が上昇している
  • 次に、福祉用具サプライ事業ではレンタル以外にも販売をやっていて、販売の原価率が高いので、販売の売上が増えるにつれて原価率も上がってしまっている


レンタル売上と販売売上については公表されていないため、どの程度、販売の原価の影響があるか、レンタル売上の原価率がどの程度上昇しているのかは、数値でみることができません。

したがって、これ以上の深堀は難しいです。


販売の売上が増えることによって原価率が上昇するのは、当然のことであまり気にする必要はありませんが、レンタル単価低下によってレンタルの原価率が上がってしまうのは非常にまずいです。

そのため、レンタル資産に対してどの程度売上が発生しているかを今後は重視して業績を見ていく必要がありそうだとわかりました。

福祉用具レンタル卸最大手のシェア

  • 福祉用具レンタル卸として最大手であるかは疑わしい
  • 2006年ごろは先行として、それなりの地位を築いていたが今は分からない
  • 他社の売上についても調査はしているがはっきりとは把握できていない

ということでした。

たしかに、福祉用具貸与の市場が2005年と今を比べると2倍以上になっていますが、日本ケアサプライの売上はそれほど増えてはいません。したがって、最大手であったのは過去の話というのも十分考えられます。

また、シェアについては全く分かりませんでした。

まとめ

IRに質問した結果、以下のことがわかりました

  • レンタル単価が低下していることで、原価率が上昇し、利益率は低下している
  • 原価率の上昇原因として、原価率の高い販売事業の売上増加もある(こちらは問題なし)
  • 現在の日本ケアサプライは福祉用具レンタル卸の最大手ではない可能性が結構ある(数値がないのではっきりとしたことがわからない)


福祉用具レンタル卸は、安定した収益が見込めて魅力的な事業であることは変わりないですが、競争が激化しており、収益性は低下しています。
また、同社は最大手であり業界内でも強い会社だという認識でしたが、同社の優位性については割り引いて考えなければならないようです。


しかし、競争が激化している中でも売上を増やし、営業利益率8%~10%を維持しているのは評価できることなので、投資対象としての魅力はあるといえます。
ただ、2005年ごろの利益率を期待することはできないでしょう。
のんびりと長期でもつにはいい銘柄なんじゃないでしょうか。


今回はここまでです。