株式調査記録

主に日本の株式の調査結果をまとめています

世界の水ビジネスについて調べてみた

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前提

ここでの水ビジネスには農業用水、水飲料は含まれないためご注意ください。

世界の水ビジネス

市場規模

データとしては少し古いですが、以下のグラフは2007年の水ビジネスの市場規模および2025年の市場規模の推計です。農業用水、水飲料の販売についてはデータに含まれていません。


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第21回原子力委員会定例会議 資料よりグラフを作成


2007年の市場規模は36.2兆円、これが2025年には86.5兆円になると推計されています。これはおおよそ2.4倍の成長です。また、上水および下水(処理)が全体の90%(2007年)・86%(2025年推計)となっており、大部分を占めていることがわかります。


以下のグラフは各分野ごとの2007年から2025年にかけての成長率の推計値です。


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第21回原子力委員会定例会議 資料よりグラフを作成


全体的に2倍以上の成長が予想されており、特に海水淡水化(3.7倍)や再利用水(21倍))の成長率が高くなっています。つまり、伝統的な上水や下水処理といった分野も成長していくが、それ以上に新しい技術を使った海水淡水化や再利用水といった分野の成長が著しいだろうと予想されているわけです。



以下のグラフは製造(素材・部材供給・コンサル・建設・設計)と運営管理(管理・運営サービス)の市場規模です。

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第21回原子力委員会定例会議 資料よりグラフを作成


2007年も2025年もおおよそ製造も運営管理も同程度の市場規模があります。製造は設備を作って客先に販売した時だけ収入が発生しますが、運営管理は継続した収入が期待できます。製造と同程度の市場規模があり、継続した収益が期待できる運営管理の重要度は高いといえます。



以下のグラフは地域別の市場規模です。

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第21回原子力委員会定例会議 資料より引用


市場規模および成長度合いについてみると、「東アジア・大洋州」「北米」「西欧」「中東・北アフリカ」が有望です。

地域別の水インフラ需要

以下は地域別の水インフラ需要です。

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経済産業省作成資料より引用


世界の水インフラ需要は地域ごとに大きく以下の3つに分類されます。

  1. 水が豊富な先進国・中進国では設備老朽化に伴う更新需要
  2. 水が不足している先進国・中進国・低所得国では海水淡水化、再生水、内陸部への管路などの大規模インフラ需要
  3. 後発途上国・貧困国では基本的なインフラ需要


水が豊富な先進国ではインフラの更新需要があるくらいなので大規模な水インフラの製造・建設需要はないと考えたほうがよいでしょう。それよりは既存の設備の運用管理の需要のほうが大きそうです。

一方、水が不足している比較的豊かな国では海水淡水化や再生水などの最新技術の需要があり、管路などのインフラ建設需要もあります。

後発途上国などでは基本的な水インフラがそろっておらず、大規模な水インフラの製造・建設需要があります。しかし、高度な技術は要求されておらず、それよりはコストが重要視されると考えられます。


日本は高度な水処理ユニットや部品の分野で優位性をもっているため、海外でビジネスを展開するのであれば水不足の先進国・中進国・低所得国を狙っていくのが望ましいです。
あるいは、水が豊かな先進国のインフラの更新需要を狙ってもいいかもしれません。もちろん、高度化の需要があるところで。

製品・サービスごとの市場シェア

以下は製品・サービスごとの市場シェアです。

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株式会社国際協力銀行主催 水ビジネスセミナー報告の資料より引用


水処理機器や素材では日本企業はそれなりのシェアを有していることがわかります。一方で、事業運営(給水))やエンジニアリング(海水淡水化プラント・装置)といった分野では大きなシェアを有していません。

日本企業の市場シェアと動向

以下は日本企業の市場シェアおよび動向を示した資料です。

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経済産業省作成資料より引用


上記の資料では前述した水ビジネスの市場規模のデータとは異なるものを用いています。


日本企業のシェアは1%もありません。

水インフラ需要の大半は汎用品や一般土木であり価格が重要視されます。海水淡水化や再生水といった日本企業が得意とする分野の需要はあるもののプラント全体としては汎用品や建設が占める割合が大きいということでしょう。

日本企業は価格面で競争力を発揮できておらず、水メジャーをはじめとする欧州企業や新興国企業、地元企業が大半のシェアを獲得している状況です。


日本企業は技術面では優れているがコスト競争力がないという風に得手不得手がはっきりしているので、コスト面を助けてくれるような提携先を見つけられれば活路があるように思います。海外のコスト競争力をもつ企業も差別化を図りたいと考えているでしょうから、高い品質や他にはない機能を実現するための日本の技術には魅力があり、提携するメリットはあるはず。ただ、高い品質や海水淡水化や再生水といった需要がなければ意味がないので、参入する市場は選ぶ必要がありますが。

世界の水ビジネスについて分かったこと

  • 市場規模について
    • 2007年から2025年にかけて2.4倍の規模に成長し、2025年での市場規模は86.5兆円になると予測されている
    • 海水淡水化や再生水の市場規模は小さいが成長性は極めて高い
    • 上下水が水ビジネス市場の大半を占めている
  • 水インフラの需要について
    • 水が不足している先進国や途上国では、海水淡水化や再生水や内陸部への管路新設などの需要があるが、水が豊富な先進国では設備の維持管理や更新需要くらいしかない
    • 水インフラ需要の大半は汎用品や一般土木であり、価格が極めて重要である
  • 日本企業の動向について
    • 素材や水処理機器では優位性がありシェアを持っている
    • コスト優位性がなくシェアをほとんどとれていない