はじめに
2020年10月30日に竹本容器の四半期決算と通期業績予想の修正発表がありました。
ざっくり内容をまとめると
- 今期の進捗は悪くない。コロナの悪影響がなさそうな良い決算。
- ただし、インド子会社は設備に見合った利益を出せていないし、今後も難しいので約6億円の減損をする予定。
- 結果、今期の純利益は大幅な減益となる予定。でも、一応黒字。
といった感じです。
今回はインドの子会社の減損について調べてみようと思います。
インド子会社への投資と減損
インド子会社が立ち上げられたのは2016年の8月です。
インドは今度人口も増えていくし、化粧品やトイレタリーの容器需要も見込めるということでインドで新たに事業を展開していこうという目論見からです。当時も今も竹本容器の売上のほぼすべてが日本と中国でのもので、それにインドを加えて事業拡大をはかっていきたかったわけです。インドに製造拠点を新たに作り、インドに本格的に進出していく計画でした。2020年2月時点での竹本容器保有の製造拠点は日本、中国、インドにしかありません。なのでおそらくは日本と中国に次ぐ新たな事業の柱としてインドには期待していたのだと思います。
ではインドの製造拠点にいくら投資をしたのかということですが、2019年12期決算時点での帳簿価格は約9億円でした。なので少なくとも9億円は投資しているはずです。そのうち6億円なので大部分を減損する計画です*1。竹本容器は毎年15億~20億円程度の設備投資を行っており、おおよそ同等の営業CFがあるのでインドの製造拠点への投資額は多大な額とはいえません*2。したがって、6億円という減損は今期の業績に与える影響は大きいが、黒字は確保される計画だし、全体の投資額に占める割合はそこまで大きくないので竹本容器の損失は大したことはないと評価しています。
減損の原因は何かといえば、単純にインドでの工場立上げが当初の目論見通りにはいっていないからです。つまり、顧客開拓も計画に比べれば難儀しているし、当然売上も計画通りには立たず赤字なので減損せざるを得なくなった。新型コロナウイルスの流行がなくっても減損は起きていたでしょう。
個人的にはインドでの事業がダメだとは思っていません。インドは文化も商慣習も日本とは大きく異なるし、そもそも新しい場所での事業が数年で軌道に乗るなんて相当難しい話です。だから、もっと長期で大きな期待をせずに待っていたい。ただ、減損するからにはインド子会社個別の売上や利益と今後の見通しを公開して、減損額の妥当性を個人投資家に説明できるようにしてほしいです。もしかしたら今の減損額では不十分で減損を繰り返すかもしれないので。
おわりに
減損の発表を受けて来週からは竹本容器の株価は大きく下落するんじゃないかと思っています。正直、つらいです。そもそも海外進出が短期間で成果が出ることは稀だし、そんなに期待せずに長い目で待ちたいとは思っていますが、株価が下がると気分もよくないです。こういう気分の上がり下がりをコントロールするのは無理なのであきらめていますが、竹本容器自体は長期投資に値する会社だと思っているので保有継続します。
今回はここまでです。