株式調査記録

主に日本の株式の調査結果をまとめています

クエの株式投資 初心者講座 第2回「株で大損しないために」

概要

株をするうえで一番何が大切かといいますと、それは株式投資から退場しないということです。もっと具体的にいえば投資資金をすべて失うまたは大きな負債を背負うようなことをしないということです。あなたが500万円のお金で株を始めて、すべてのお金が無くなってしまった。それどころか数百万円の借金を作ってしまったとしたら、株をすることなんて嫌になってやめてしまうと思います。私ならそうなりますし、それでも株を続ける根性のある方はほとんどいないでしょう。お金を長期にわたって増やせる可能性をそんな形で失ってしまうのは本当にもったいないことです。ですので生き残ることが一番大切です。


以下のようなことはやってはいけません。いずれも破滅的な損失が発生する可能性があります。

  1. 信用取引
  2. 万年赤字企業(ボロ株)への投資
  3. 1社への集中投資
  4. 人気の高PER株を買う

ここではこの4つがなぜダメなのかを解説します。

やってはならない4つの投資手法

信用取引を使う

信用取引を使うと証券会社からお金を借りて、自己資金の以上の投資をすることができます。お金を借りて自己資金以上の投資をすることを「レバレッジをかける」といいます。また、証券会社から株を借りて、売りのポジションを建てることもできます。このどちらもやってはいけません。

レバレッジの何が悪いかというと、それは失敗したときに投資資金をすべて失ってしまう恐れがあるところです。信用取引ではレバレッジを最大で3倍までかけることができます。3倍のレバレッジで株を取引きした場合、株価が34%下落すると投資資金はなくなってしまいます(実際にはロスカットルールに基づき証券会社によってポジションが解消される)。そして、株価が3割下落するというのはよくあることです。株価の下落が続くと損失はさらに膨らみ借金を作ってしまうことになるわけですが、それを防止するために証券会社はロスカットルールを設けています。これは株価の下落によって一定の基準まで投資資金が減少したら、投資家のポジションを解消し(つまり投資家の株を売却し)損失が拡大しないようにするためです。しかしながら、株価が大きく下がるときというのは売買が成立しないことがあるので都合よくロスカットできるとは限らず、投資家が自己資金以上の損失を被ってしまう可能性は常にあります。

それならレバレッジを低く抑えて投資すればいいと思われるでしょう。もしも、それが可能ならそれでもかまいません。しかし、人の欲望や感情をコントロールすることはそう簡単ではありません。私の考えでは不可能なので信用取引を使ってはならないと述べています。確かに節度をもってレバレッジ1.2倍とか1.5倍とかで取引しているうちは信用取引によって大きな損失を被ることはないでしょう。しかし、投資が上手くいくとレバレッジをどんどん上げてもっと大きな利益が欲しくなってしまうものです。また、逆に損失を取り返そうとしてレバレッジを上げることもあります。「100万円の投資資金が80万円に減ってしまった。1.2倍や1.5倍のレバレッジではそう簡単に損失は取り返せないからレバレッジを大きくして一気に損失を取り返そう」という心理です。こういった欲望や心理はエスカレートしやすく、コントロール不能になりやすい。「このまま億りびとを目指す」とか「最後の勝負」といったヒロイックなものに人間は弱いのです。気が付けば身の丈に合わない高いリスクを取るようになっており、そんなときに限って「運悪く」ネガティブサプライズが発生して株価が下がり、全財産を失ってしまいます。非常に愚かなことです。

証券会社から株を借りて売りのポジションを建てること、これを信用売りといいます。これもやってはいけません。なぜなら信用売りの損失は理論上無限だからです。つまり、リスクが高すぎる。例をあげます。A社の業績が近年良くなかったため株価が大きく下がって1000円の値をつけていたとします。あなたはA社の業績不振は深刻なのでもっと株価が下がると思いA社の株を1000株売り建てたとします。A社の株があなたの目論見通り、500円の株価まで下がれば、あなたはA社の株を500円で1000株買い、売り建てていたポジションを解消することで50万円の利益を手にすることができます。しかし、あなたの目論見が外れA社の業績が回復したとします。下がっていた株価はスルスルと上がり気が付けば1500円まで回復してしまいました。いまポジションを解消すると50万円の損失となります。さらに株価が上がってA社の株価が10倍になれば損失は900万円となります。恐ろしいことに株価の上昇に上限はありません。可能性は低いものの株価は時に10倍100倍になることがあります。これは交通事故のようなものですが、株式投資においてこんなリスクを取る必要はありません。

万年赤字企業(ボロ株)への投資

上場している会社の中には赤字が5年10年と続けて出ている会社があります。事業が成長期にあり投資が必要だからというわけではなく、ただ単に事業が上手くいっていないという理由からです。そういった会社の株価は低く、低位株だとかボロ株と呼ばれていたりします。株価がとても低いのでお買得に見えたりもするのですが、このような会社には決して手を出してはいけません。なぜなら倒産するリスクがあるからです。そして会社が倒産したら株の価値は全くなくなります。

過去に倒産して上場廃止した会社の業績を調べてみると大半が赤字企業です。業績が悪化したときに会社がすることは「人員削減」「不採算部門の切り離し」「その他コストの削減」「遊休資産の売却」「銀行からの借入」などによって資金を作り、その資金を使って経営を立て直すことです。それが上手くいかないと会社から資金がどんどん流出し、ついには銀行からも見放されて借り入れを断られ、不渡りを出し倒産することになります。株価が低いのにはそれだけの理由があります。投資初心者が倒産リスクを取るべきではありません。

また、経営の立て直しを期待して、いわゆる逆張りをするという考えもいただけません。ダメになったのにはそれだけの理由があります。それを覆すだけの改善を会社側が成功させるという根拠はあるのでしょうか。我々は経営の素人であり、会社の内情も知りません。そんな我々がどうして会社の経営改善の成否を見極めることができるでしょうか。ダメになってしまった事業への逆張りはやめておきましょう。ダメになったものは大抵ダメになったままです。ほかにもっといい銘柄が絶対に見つかります。

1社への集中投資

投資先として最高の銘柄が見つかったとしても、その1銘柄に全財産を投資するのは大変危険なのでやめておきましょう。可能であれば10銘柄くらいに分散して投資するのが望ましいです。良い銘柄が見つからないなら5銘柄程度の分散でもよいし、キャッシュポジションを残しておくという方法も悪くはありません。とにかく、1社への集中投資だけは避けてください。なぜなら未来は誰にもわからず、悪いことは突然訪れるからです。

あなたが見つけた投資先が最高の会社だったとします。経営者が優秀で、市場規模は拡大していて、増収増益を繰り返している。あなたはその銘柄を割安で購入しているので市場を出し抜くことにも成功しています。そしてあとは利益が出るだけだという状況だったとしても、ネガティブサプライズが突然発生し、会社の業績が悪化し、最悪倒産するなんてことも起きうるのが株式投資です。

新型コロナウイルスの流行をだれが予期できたでしょうか。飲食、交通、宿泊業の市場規模がこれほど棄損するとはだれにも予測できませんでした。あなたの銘柄選択が失敗したわけではありません。将来予測に対する努力が足りていなかったわけでもない。ただ、運が悪かっただけです。そして、運が悪かっただけで全財産を失ってしまうような投資の仕方をしていたあなたが悪いのです。

決して、1社への集中投資をしないでください。自分にコントロールできない事柄に身を預けて投資資金を失わないでください。

人気の高PER株を買う

良い会社がかならずしも良い投資先であるとは限りません。良い会社というものはとても人気があり、株価も高いことが多いです。PERが100倍の人気株を買えばきっと損をします。PERとは会社の利益の何倍の価格で株が買われているかという指標です。PERが高ければ高いほど割高で、低ければ低いほど割安とみなします。そして良い会社ほど高いPERになりやすいです。


事業環境が良く、財務も健全で、高い成長率を維持している会社は投資家から期待されており、PERも異常なほど高くなっています。例えばエムスリー(2413)は素晴らしい銘柄ですが、PERが277倍(2021年2月17日の実績PER)、Chatwork(4448)もPERが264倍(2021年2月17日の実績PER)と高いです。エムスリー(2413)は国内の医者の9割以上が登録している医療情報プラットフォームを運営している有望な会社ですし、Chatworkは新型コロナウイルス流行の中で需要が急速に伸びているリモートワーク向けのアプリケーションを開発しており、2020年12月期決算の売上成長率は前期比+33.6%、営業利益成長率は前期比+324.7%とすさまじい成長を遂げている会社です。だれだってこんな会社に投資をしてお金を増やしてほしいと思ってしまうものです。私だってそうです。

しかし、冷静になってください。高い成長率が長く続くことは極めてまれです。いずれ失速し、ほどほどの成長率に落ち着くことでしょう。そうなると例え増収増益を維持できていたとしても、これまでの期待が高かった分だけ投資家からは失望され、株価は大幅に下落します。仮に株価が妥当な値、例えばPER40倍程度に落ち着いたとします。今のPERは200倍を超えているのでその株価で株を買っている投資家は8割以上の損失を出すことになります。そして、ほどほどの成長率に落ち着いた株が再びPER200倍を超えるような株価に評価されることはあるでしょうか。おそらくありません。

今の株価でエムスリーやChatworkを買った投資家が必ず8割を超える損失を出すとはいいませんが、人気の高PER株はそれくらいの損失を出す危険性をはらんでいるということを覚えておいてください。良い会社の株を買っても、株価が高すぎれば倒産する会社の株を買ったときと同じくらいの損失を出してしまうものなのです。