株式調査記録

主に日本の株式の調査結果をまとめています

クエの株式投資 初心者講座 第3回「株価と株の本質的価値」

株価は株についた値段であって、その株の正当な価値を表しているとは限りません。とてもおいしい牛丼にはどう考えても600円の価値があると思うのに300円で売られていたり、マグロの初値に2000万円の値段がついたりします。マグロ自体にはさすがに2000万円も価値はないでしょう。このように価値と価格というものは異なるものです。株価が株の価値と一致することを「市場が効率的である」といいます。一般的に市場は効率的で誤った値付けはされていないとされていますが、私は市場は時に誤って過大な評価をしたり、過小な評価をしたりすると考えています。なぜなら市場参加者である人間には感情があり「大きな期待をしたり」「熱狂したり」「落胆したり」「恐怖したり」するためです。ですが、それでも市場はおおむね効率的であり、長期的に見た場合、株価は株の価値におおよそ一致するでしょう。

ここまで単純ではないですが、おおよそ以下の図のイメージです。

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上記の図では株の価値は変わっていないのにもかかわらず、株価が変動しており、過大評価される時期と過小評価される時期を繰り返しています。それでも株価は株の価値から大きな逸脱をしておらず、おおよそ一致しています。これが私が持っている株の価値と株価の関係のイメージです。


しかし、株の価値が常に一定であることはありえません。事業にはライフサイクルがあり、その時々で株の価値は変化し、それに応じて投資家の期待度合いも変わっていきます。そして、株は過小評価されたり、過大評価されたりするわけです。事業の導入期は世間的にも認知されていないため市場規模も小さく、大きな売り上げが立つことは見込めない段階です。しかし、上場するような会社は事業が有望視されている場合が多いので、たいていの場合は将来への期待から株は過大評価されます。それが成長期に入ると市場規模も急速に拡大し、事業規模の拡大が期待できるようになります。実際に売上が大きく伸び始めると、将来へのさらなる期待感から株価はその価値を超えて大きく上昇します。しかし、同じペースで成長することは不可能で、やがて事業は成熟期や衰退期に入ります。製品は市場に普及しきっているため市場規模も頭打ちになります。さすがに今までのペースで売上が成長することは不可能です。こうなるとこれまでの期待が大きかった分だけ落胆も大きく、株価は下がり、適正な価格に落ち着くか、過小評価されるようになります。おおよそ以下の図のようなイメージです。以下の図では成長期の大部分と衰退期に株が極端な過大評価、過小評価をされていますが、その他の期間は妥当な評価をされているといえます。


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さすがに上記の図ほど単純なことはなく、例えば成長期の成長がもっと緩やかだったり、激しかったり、投資家の期待が初めからもっと高かったり、成長期を迎えてもあまり期待されていなかったり、いろいろなパターンがあります。また、会社は事業の周辺分野や異なる地域に進出することで事業が衰退期に入ることを遅らせようとするので、上記の図はさらに複雑になります。例えば、海外進出によって成熟期の後に再び成長期が訪れることも十分あり得ます。さらに悩ましいことに競争も考慮する必要があり、事業が成長期であっても成熟期であっても成長に敗れて価値が棄損するということは往々にしてあります。

ここでは

  • 株価と株の価値は異なるもの
  • 投資家の心理によって株は過大評価されたり、過小評価される
  • 事業のライフサイクルというものがあり、株の価値はそれに伴って変動する

ということを理解いただければ十分です。


投資をするとしたら、成長期や成熟期のおおよそ適正な評価がされいる時期が望ましいです。間違っても過大評価されすぎている時期に投資をしないようにしたい。導入期に投資できたらいいのではないかと思われるかもしれませんが、これは非常に難しいです。この段階というのは市場規模が拡大していくことさえも不確かで、さらに期待感から高値がついていることが多いです。実際に市場規模が拡大し、事業が成長期に入ることができればよいですが、そうでない場合もあり、とてもリスクが高いです。そういった理由から導入期の段階で投資をするのはお勧めできません。


例えば、CYBERDYNE(7779)はHALというロボットスーツを開発している会社です。ロボットスーツはリハビリテーションなどの医療分野や介護、運送、農業などの肉体を酷使する分野での利用が期待されています。ロボットスーツは社会にとって有益ではありますが、現時点(2021年2月19日)では普及はあまり進んでおらず、事業のライフライクルの導入期にあたります。そして、ロボットスーツが今後さらに普及していくかどうかはまだ誰にもわかりません。さらにCYBERDYNEは競合他社との競争にも勝たなくてはなりません。ロボットスーツHALは皮膚表面の生体電気信号を読み取って動作しますが、この方式に優位性があるのか、もっと簡易的で安価な仕組み取って代わられることはないのか。懸念はいくらでもあります。そういったことを考え抜いて投資をするのが長期投資の醍醐味でもあるのですが、リスクが高いです。