株式調査記録

主に日本の株式の調査結果をまとめています

クエの株式投資 初心者講座 第6回「割安銘柄の難しさ」

概要

株価が割安であるというのは素晴らしいことです。前回の講座でよい銘柄の特徴について説明しましたが、本当は「割安である」という項目を設けたいくらいでした。ここでは「割安であることがなぜ良いことなのか」「どうして割安であることをよい銘柄の特徴に加えなかったのか」を説明します。

割安な銘柄は素晴らしい

良い銘柄を割安な株価で買うことができれば、投資のリターンは飛躍的に上昇します。1200円の価値がある株を800円で買うことができれば、その株が正しく評価されるだけで50%の利益が発生します。さらにその会社が成長し、株の価値が向上すればさらに利益が増えるでしょう。割安であることは突然のネガティブサプライズへの備えにもなります。予測できなかった事業環境の悪化、不祥事が起きたとしても安く買っているのであれば損失を抑えることができます。したがって、割安であることには「損失は小さく、利益はさらに大きくする効果」があるといえます。

割安な銘柄への投資は市場を出し抜くことと同義であり、取ったリスク以上のリターンをもたらしてくれます。

良い銘柄が割安なことはめったにない

だだし、割安であることが素晴らしいのは良い銘柄に限ります。いくら株価が安いからといって業績が優れなかったり、倒産リスクがある株を買うようでは投資は失敗するでしょう。そして、良い銘柄が割安なことはめったにありません。

試しに証券会社のスクリーニング機能を使ってPERが低い銘柄を眺めてみてください。PERが10倍以下の一見すると割安な株は「業績が近年思わしくない」「景気の影響によって業績が悪化しやすい」「有利子負債があまりにも多いなどバランスシートが優れない」といった悪い特徴を持つものが多いです。良い銘柄はそれに見合った値付けがされているものです。今はインターネットが発達しており、誰でも簡単に情報を入手することができます。他の投資家を出し抜いて、自分だけが良い銘柄に気が付くというのは非常に難しいことです。

不景気に株を買うというアイデア

何事にも例外があり、不景気の時は良い銘柄であっても割安で放置されていることがあります。新型コロナウイルス流行による一時的な株安の時期がまさにそうでした。振り返って調べてみればリーマンショック後の景気後退期も割安な優良銘柄が散見されました。まさにバーゲンセール、こんな時期に株を買わない手はありません。しかし、不景気で株価が暴落しているさなか、勇気を出して株を買うことができるでしょうか。


不景気の時は株価が大きく下がっており、なおかつ、もっと業績が悪化するのではないかという不安によって株を買う人があまりいません。そのため、良い銘柄が割安に放置されているのですが、

  • もっと業績が悪化して株価が下がるのではないか
  • 会社が倒産して資産をすべて失ってしまうのでないか

といった不安や恐怖が支配的になっており、株を買うには勇気が要ります。


やっかいなことに勇気を出して不景気に良い銘柄を買うことができたとしても株価がさらに下がり、含み損が発生する可能性が高いです。投資家の不安と恐怖はそう簡単に解消されませんし、不景気によって業績も実際に悪化するからです。そうして生まれた売りがさらなる売りを呼び、業績が悪くない銘柄の株価もお構いなしに下がっていきます。短期間で含み損が解消することはなく含み損との付き合いは長期にわたります。そして、含み損があるときは買うべきでなかった理由というのがいくらでも見つかるので「自分の投資判断は間違っていたのではないか」と思うようになり、せっかく買った良い銘柄を手放したくなります。

わたしはリーマンショック直後から投資信託を買っていたのですが、買えば買うだけ含み損は増えていきましたし、1年たっても利益が乗ることはありませんでした。それどころかようやく利益が出たとおもったら2011年に震災が発生し、また含み損に逆戻りというありさまで、買う気持ちがなえてしまい、ほとんど買うことができませんでした。投資ってなんて苦しいんだろうと思っていました。不景気に株を買うのは実はとても難しいです。


また、不景気まで株を買わないというのもやめたほうがいいです。あなたの大切な投資期間を無駄にすることになります。確かに不景気は必ずやってきます。しかし、いつやってくるのかは誰にもわかりません。リーマンショックから既に12年が経過しましたが、次の不景気はまだやってきていません。株は資本成長の複利効果を味方につけることが肝心で、投資期間は長ければ長いほどよいため、その期間を無駄にすることは避けたいです。不景気の際に良い銘柄を買うことができればまだよいですが、買えなかったら目も当てられません。


そういったわけで、わたしは不景気に株を買うことにこだわるべきではないと考えています。

よい銘柄を妥当な価格で買えればよしとする

「割安にこだわるがあまり良い銘柄を買うことができないくらいなら、妥当な価格で良い銘柄を買っていたほうがよい」というのがわたしの考えです。妥当な価格で良い株を買い、投資期間を長くとって、資本成長の複利効果を味方につけることができれば、リスクに見合ったリターンは得られるはずです。それほど資本成長のパワーはすさまじいです。

安く買うことは「おまけ」だと考えましょう。株式市場は気まぐれに良い株を安く買うチャンスを与えてくれます。不景気なのか、良い銘柄がたまたま安値で放置されているのかは問いません。その際に割安で買うことができれば幸運ですが、別に買えなかったとしても問題ありません。

「割安である」ことよりも、良い銘柄を選択することに力を注ぐべきです。わたしは株をするうえで資本成長を利用することを重視しており、そのため良い銘柄の特徴に「割安である」ことを加えませんでした。