調査の動機
ナカボーテックはインフラメンテナンス関連銘柄であり、日本では社会インフラ維持管理が今後重要になっていくため興味があり調査しました。
事業概要
ナカボーテックは金属およびコンクリートの構造物の腐食・劣化を防止する工事を主な事業としています。事業セグメントおよび防食対象となる設備は以下の表の通りです。
セグメント | 防食対象 |
---|---|
港湾 | 港湾施設及び船舶等 |
地中 | 地中埋設施設及び地上・地下タンク等 |
陸上 | 陸上施設及びプラント装置等 |
その他 | 鉄筋コンクリート構造物等 |
有価証券報告書より表を作成
以下は2021-3期のセグメント別の売上および利益構成です。
有価証券報告書よりグラフを作成
港湾事業から過半の売上と利益を得ており、港湾施設の防食需要が重要だとわかります。
以下は国土交通省がまとめた港湾設備の老朽化進捗に関する資料です。
国土交通省 港湾施設の維持管理に関する技術講習会資料 資料2-4 p1より引用
建設後50年を経過するような港湾設備は2011年~2040年にかけて急激に増加するため港湾設備の防食需要は底堅いと評価しています。
競合他社に関する情報を入手することが出来ませんでしたが、2021-3期の受注工事高のうち66.5%が特命受注であり、競争環境は悪くないと評価しています。
売上と利益
有価証券報告書よりグラフを作成
売上はやや増加、利益は横ばいだと評価しています。ただし、港湾設備の老朽化進捗を勘案すると今後上振れる可能性はあります。2021-3期の営業利益率は9.8%あり高いです。
セグメント情報
有価証券報告書よりグラフを作成
- 港湾事業の売上のみがやや増加。他は横ばい。
- 港湾事業の利益は横ばいと保守的に評価。他も横ばい。
まとめ
ナカボーテックはそれほど売上と利益は成長していません。しかし、主力工事である港湾施設の防食工事については公共需要が底堅いと予想されており、全体の受注額の6割程度が特命受注で競争環境もよさそうです。また、同社の業績は比較的景気循環の影響を受けにくく安定しやすいと思われます。おそらくニッチな分野で更に競合が少ないのだと思いますが、業界に関する情報が入手できず憶測です。港湾設備の老朽化が進捗するのはまだまだこれからなので上振れる可能性はあるのかなと思っています。
本記事は調査結果の要約です。調査の詳細をご覧になられたい方は以下のページをどうぞ。
今回はここまでです。