はじめに
ここでは投資を始めたばかりの初心者に向けてお勧めの本を紹介します。わたしが投資の学習をするために買った本で役に立ったと思えるものを取り上げています。
- 個別銘柄に投資したい方
- 財務諸表をしっかり読めるようになりたい方
- 事業の良しあしを材料に投資判断したい方
におすすめです。
一方、テクニカル重視の方からすると見当違いなのであしからず。
会計超入門! 知識ゼロでも2時間で決算書が読めるようになる!
財務諸表の読み方を解説した本です。図が多用されており初心者でもとっつきやすいです。わたしは財務諸表関係の本をいくつか読んだのですが、一番初心者向けなんじゃないかと思っています。
財務諸表って何?というところから、何がわかるのか、どうやって見たら良いのか等の基本的な内容が網羅されています。さらに倒産してしまいそうな危ない会社の見分け方、セグメント情報からわかることなど、少し難しいけれど初心者にとって有益な事柄もカバーしています。
財務諸表を学ぶための最初の1冊としてお勧めします。
財務3表一体理解法
これも財務諸表の読み方を解説した本です。財務諸表の基礎について書かれていますが、上記で紹介した1冊目の本では触れられていなかった内容が多々あります。
この本でかかれていることで最も重要なことは損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書はつながっているということです。この本を読むことで「財務諸表のどの部分が会社のどの活動にかかわっているのか」や「会社の事業活動による利益の蓄積がどのように財務諸表に反映されていくのか」といったことがわかるようになります。
「会計超入門! 知識ゼロでも2時間で決算書が読めるようになる!」の次に読む本としてお勧めします。
ビジネスモデルの教科書
事業が優位性を持つための要素やパターンを数多く解説しています。特定のビジネスモデルがなぜ収益や優位性に結び付くのか、前提は何か、ビジネスモデルの優位性が棄損する要因は何かといった内容が盛り込まれています。
良い事業のパターンを知ることは企業分析の役に立ちます。特定の事業がどのビジネスモデルのパターンに合致しているのか、合致する可能性があるのかを考えることで事業への理解が深まるはずです。内容もそれほど高度ではないため初心者の方でも問題なく読むことができます。
ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか
事業から生まれる利益に着目して、その源泉は何かを解説した本です。事業から利益が生まれるケースをいくつかのパターンに分類し、利益を生み出す仕組みについて述べています。「顧客の困りごとを解消する」「一つの事業資産をマルチに活用する」「製品販売後に生まれる需要を掴む」といった全部で23のパターンが説明されています。
やや難しい内容もありますが、ストーリー仕立てで理解しやすくなっています。
世界一わかりやすい ポータ博士の「競争戦略」の授業
競争が発生するのはなぜか、競争に立ち向かうにはどうしたらよいかを解説した書籍です。ポータ教授の「競争の戦略」という原著があり、これを要約したのがこの本です。わかりやすさを重視しているため、専門知識がなくても読み解くことが出来きます。本書の一部にすぎませんが「競争に関係する要素は何か」「競争が激化する条件は何か」「競争の中で優位に事業を進めるにはどうしたらよいのか」といったことが書かれています。
具体的な例は少なく、ややとっつきにくい本かもしれません。そのため、すべてを理解するのではなく、競争ってこういうものなんだなというイメージがわけば十分だと思っています。
分析したい企業がどのような競争環境にあるかを考察するために役に立ちます。また、ポータ博士の「競争の戦略」はかなり有名な本なので大抵の経営者は内容を知っているはずで「おそらく企業の経営者もこれに倣った事業運営をしている」という意味で有益かなと思います。
億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術
コモディティ型のビジネスを避け、消費者独占型のビジネスを選択しましょうというのが本の要旨です。コモディティ型のビジネスはなぜダメで、消費者独占型のビジネスがなぜ優れているのか、どのようにして両者を見分けたら良いのかが解説されています。
世界的に有名なバフェットの投資手法を解説した書籍であり、一読の価値があります。ただし、これは彼の著書ではなく彼の身近な人が書いた本です。私が知る限り彼の著書と呼べるものは「バフェットからの手紙」くらいですが、この本は初心者が読むには難解なのでお勧めしていません。
株安の今こそチャンス! 成功する長期投資
なぜ投資は長期でのぞまなければならないのかが書かれた本です。短期でリターンを得ようとすることの不合理や、我慢強く粘り強く会社の成長を見守る姿勢の大切さが説かれています。この本にはすぐに利益に結び付くような情報は一切かかれていません。投資に対する姿勢、考え方についてを農業や野球観戦のアナロジーを使って優しく解説しています。「事業の優位性や価値創造を重視すれば長期投資にならざるを得ない」というのが本書の要旨です。
個人的に非常に役に立った本です。ここにわたしの感想を書くと長くなってしまうので興味がある方はこの記事を読んでください。
株で本当に儲けるヤツは、「業種別投資法」を知っている
業種ごとにどんな特徴があるのか、例えば
- 景気敏感なのかディフェンシブなのか
- 長期保有に適しているのか短期保有に適しているのか
- 個別銘柄に注意するべきか、業種全体に注意するべきか
- どんな指標を見るべきか
- 特定の出来事が業種にどんな影響を及ぼすのか
といったことが解説されています。
初心者が犯しがちな「景気循環株を好景気で割高な際に買ってしまう」といった失敗を防ぐために有益な本です。投資を考えている業種について確認し、今がその銘柄にとってどんな時期なのか、何が業績に影響を及ぼすのかといった大枠を把握するために役に立ちます。
例えば、鉄鋼であれば
p109より引用
業績が絶好調であればあるほど、ピークアウトの手前にある
建設・住宅であれば
p58より引用
受注動向のチェックが投資を考えるうえでのスタートポイントになる
というように特定業種の銘柄を分析するうえで有益な内容が含まれています。
初心者向けの書籍では物足りない方に向けて
ここまで初心者の方に向けて書籍を紹介してきましたが、それでは物足りない方に向けて2冊ほど取り上げます。
真のバリュー投資のための企業価値分析
「企業価値を測るにはどうしたらよいのか、どうやったらよい企業を見分けることが出来るのか、設備への投資判断はどのように行われているのか、資金調達はどのように行われるべきなのか」といった内容が書かれています。この本を一言で表すと「正しい投資プロセスとはどういったものなのか、そのために何が必要なのか」となります。この本は初心者であっても読むことはできると思いますが、やや難易度が高いためここで紹介しています。基本的な株の知識があって、さらに上達したい方にお勧めします。
この本およびその内容に沿ったセミナーの紹介をこの記事でかいているので興味がある方はご覧になってください。
高収益事業の創り方
この本の要旨は「高収益な事業を分析することで、高収益に結び付く要因は何かを解き明かしていく」です。とにかく記載している事業の数が多く、過去に上手くいった事業の例をたくさん知りたいと思ってわたしは購入しました。
そこそこ高価な本なので万人にはお勧めできませんが、好きな人にはたまらなく好きな本だと思います。著者が経営学者なので内容はかなり固いです。
おわりに
わたし自身が「事業の良しあしを材料に投資判断」することを目指しているため、紹介した書籍もそれに沿ったものとなっています。今回は初心者であっても読めるもの、初心者のうちに知っておいた方が良いことを学べる本を中心に紹介しました。
今後わたしが投資の学習を進めるにあたって紹介できる本が増えたら、この記事に追記していくつもりです。この記事の内容が皆さんのお役に立てるとうれしいです。
今回はここまでです。