調査の動機
日本のインフラは高度経済成長期に多く作られましたが、多くが老朽化よって建て替えや整備の必要に迫らせています。社会インフラの再整備、メンテナンスは今後10年20年間以上続くであろうテーマであり、それにのっとった銘柄としてショーボンドホールディングスを調査することにしました。
事業概要
ショーボンドホールディングスは橋梁やトンネルなどのインフラの補修補強を主な事業としています。事業セグメントおよび内容は表の通りです。
セグメント | 事業内容 |
---|---|
国内建設 | 橋梁やトンネル等の公共構造物の補修・補強工事及び製品販売 |
その他 | 工事材料の販売、海外建設事業 |
有価証券報告書より表を作成
以下は最新決算期の売上と利益のセグメント毎の比率です。
有価証券報告書よりグラフを作成
国内建設事業が9割以上の売上と利益を稼いでいます。ショーボンドホールディングスは国内のインフラ補修補強の会社だと思ったらよいです。
事業環境
同社の顧客は主に国土交通省、地方自治体、高速道路各社です。顧客が公共であるため国の方針に大きな影響を受けます。以下は同社がまとめた事業環境に関する資料です。
中期経営計画 p11より引用
「今後15年間くらいは高速道路各社・国交省の難易度が高く規模の大きい工事が沢山あり、その先も地方自治体の難易度が低く規模の小さい工事が継続的にある」と同社は見込んでいます。
同社は補修補強の専門家であり難易度が高く規模の大きい工事は採算性の高い工事が多いでしょうから、今後15年間は事業環境としてはよく、それ以降は劣るとみてよいでしょう。
事業の強み
同社の強みはインフラの補修・補強に特化しており、ノウハウの蓄積があり、施工の熟練度が高いということです。また、過去の実績から地方自治体や地方の建設会社との信頼関係があるということも強みでしょう。さらに同社は補修補強に関する研究所や社員教育のための研修センターを有しており、更なるノウハウの蓄積と従業員の施工熟練度の強化にも取り組んでいます。
具体的には他社と比較して
- 工事の手戻りが少なく、生産性が高い
- 納期の順守・短縮が可能
- 補修・補強用資材の大口顧客であり、価格交渉によって材料コストを低減できる
- 地方自治体や他の建設会社との関係性から受注活動や需要察知の面で有利
といった強みがあります。
売上と利益
有価証券報告書よりグラフを作成
売上と利益は増加しています。2021-6期の営業利益率は19.6%あり高いです。
顧客別の受注額
有価証券報告書よりグラフを作成
高速道路各社の受注が多いことがわかります。高速道路の工事は難易度が高く、規模が大きいため、同社にとっては利益を出しやすい事業環境にあるといえます。
まとめ
ショーボンドホールディングスは近年のインフラ修繕需要の高まりを受けて売上と利益を大きく伸ばしています。同社は今後15年間くらいは高速道路各社・国交省の難易度が高く規模の大きい工事案件があると見込んでおり、事業環境は当面良いとみていいでしょう。しかし、2035年以降は大規模で難易度の高い、同社にとって採算性の高い案件は減少する見込みなので利益率が低下する可能性があります。また、そのような工事案件が減少するのであれば競争も激化するはずです。
したがって、同社については
- いつまで今のよい事業環境が続くのか、15年も続くのか?
- 採算性の高い案件が減少しても収益力を維持できるのか
といったところがみどころでしょう。
本記事は調査結果の要約です。調査の詳細をご覧になられたい方は以下のページをどうぞ。
今回はここまでです。