概要
2021年に新規上場した銘柄のうち、面白そうだなと思った銘柄を簡単に紹介します。投資するに優れた銘柄とは限らないためあしからず。
今回の銘柄はcolyです。この会社は主に日本で女性向けゲームの開発、運営、グッズ販売等をしています。
事業内容
同社は以下のゲームを開発、運営しています。
2021年1月期有価証券報告書 p5より引用
各タイトルのリリーズ年月は以下の通り。
タイトル | リリース |
---|---|
ドラッグ王子とマトリ姫 | 2015年3月 |
スタンドマイヒーローズ | 2016年9月 |
オンエア! | 2018年8月 |
魔法使いの約束 | 2019年11月 |
有価証券報告書より表を作成
各タイトルの売上推移は以下の通り。単位は千円。
2021年1月期有価証券報告書 p6より引用
ドラッグ王子とマトリ姫はストーリ毎に課金、他の3作品は基本プレイは無料でアイテム課金で売上を出しています。オンエア!は収益化困難なためゲーム開発は中止しています。
4作品中3作品が上手くいっており、開発ゲームのヒット率は高いです。また、運営期間もスタンドマイヒーローズは約5年と長く、売上も増加しており、運営もうまくやっています。ゲームは流行り廃りが激しく、ヒットさせることも簡単ではない中で「よくここまで上手くやれているな」と素直に驚きました。
また、同社はゲーム開発・運営だけではなく、グッズ販売、アニメ・舞台化などコンテンツ利用許諾を行うマーチャンダイジング(MD)事業もおこなっており、2021年1月期決算では売上全体の17%を稼いでいます。
同社の強みは
- 女性向けゲームのヒット作を開発・運営してきたノウハウがあること
- 同社の作品が好きなファンを抱えていること
- 既存のゲーム資産をマルチに活用可能なこと
です。
4作品中3作品が上手くいっており、同社の女性向けゲーム開発能力は高いと言わざるを得ません。また、女性向けコンテンツにおいてはキャラクターを好きになったユーザーはゲーム以外のアニメ・漫画、グッズ、舞台など他のコンテンツも購買する傾向が高く*1、売上を拡大させる余地も大きいです。
ただ、わたしは女性向けゲームについて詳しくないので競合についてはよくわからないです。同社の決算説明資料によれば女性向けコンテンツ市場は拡大傾向にあるため、競争激化懸念はあるものの成長していく可能性は十分あるのかなと評価しています。
業績
以下は過去5年間の同社の売上・利益の推移です。
2021年1月期有価証券報告書 p2より引用
魔法使いの約束がヒットしたことにより売上と利益が一気に増加しています。同社にはドラッグ王子とマトリ姫やスタンドマイヒーローズを長年上手く運営してきた実績があるので、魔法使いの約束も同様にうまくやるでしょうから、来期に急に業績が悪化することはないだろうと思っています。
また、2017年1期以降、赤字がなく、非常に安定した経営がなされています。
今後について
現時点で同社は以下3つのタイトルを開発中です。
- オリジナルタイトル
- スタンドマイヒーローズのリニューアル
- フジテレビのコンテンツを用いたタイトル
既存タイトルからの収益を用いて、新しいコンテンツ開発を行うサイクルが回せていることがわかります。また、同社の女性向けゲーム開発力の高さから他社所有のコンテンツを用いた案件も獲得できています。同社は新興メーカであり、コンテンツ資産は厚いとは言い難いのですが、確実に成長する道を歩んでいます。
まとめ
colyは女性向けゲームにおいて高い開発力、運営力を有しています。4作品中3作品が成功しており、高いヒット率を誇っています。その開発力の高さから、他社コンテンツを用いた案件も獲得できており、女性向けコンテンツはゲームからグッズ・アニメ・漫画・舞台などマルチに展開して収益を生み出しやすいため、今後の成長期待は高いといえます。
ただし、女性向けコンテンツ市場は成長しており、参入も決して難しいとは言えないため、競争は激化していくでしょう。また、ゲームは流行り廃りが激しい分野なので同社がヒット作を生み出し続けられるかはわかりません。さらに同社のコンテンツ資産は現時点では厚いとは言い難いため、まだリスクが高い段階にあります。
今回はここまでです。
*1:有報の記載より