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2021年 IPO 簡易調査 4179 ジーネクスト

概要

2021年に新規上場した銘柄のうち、面白そうだなと思った銘柄を簡単に紹介します。投資するに優れた銘柄とは限らないためあしからず。


今回の銘柄はジーネクストです。この会社は主に問い合わせ・クレーム対応業務向けのソフトウェアの開発をしています。

事業内容

コールセンター、メールやチャットといった問い合わせ窓口に顧客から寄せられた問い合わせやクレームを管理し、社内共有・問い合わせやクレームへの対応承認や記録・リスクマネジメント・品質管理・新商品開発に活用するためのアプリケーション「Discoveriez」を開発している。また同社は「Discoveriez」を顧客システムへ導入する業務も行っている(コンサルや追加開発も)。


問い合わせやクレーム対応が重要になる食品・日用品・外食業界が顧客の約7割を占めている。大規模な企業が多い。


Discoveriezを導入する具体的なメリットは以下の活用事例がわかりやすい。

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事業計画及び成長可能性に関する事項について p41~p44より引用
 

  • 情報へのスムーズなアクセスを提供(どこにファイルがあるかわからない、ファイルが重くて開けないを解消)
  • 情報共有で発生する問題(同一ファイルへのアクセス・フォーマットの違い、連絡漏れ)を解決する
  • 現場で発生した意見やクレームを迅速に共有、連絡漏れも防ぎ、報告コストを低減する
  • 異物混入などの重大クレームが隠蔽されることなく、ソフトウェアによって確実にアラートを上げることで重要クレームの対応漏れを防ぐ
  • 問い合わせ情報が一元管理されているので複数システムが存在している場合でも同じ情報にアクセス可能になり、2重管理による入力ミスや確認漏れを防ぐ


Discoveriezは前述した通り、顧客からの問い合わせ・クレームに対応するために特化した製品であることがわかる。


Discoveriezの導入件数。

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事業計画及び成長可能性に関する事項について p13より引用


導入件数は伸びています。解約率も低いようでクラウド事業に関しての情報しかありませんが2020年3月期で0件、2021年3月期で2件の解約しかありません。


同社はDiscoveriezをクラウドにて提供するよう方針を変更しており、クラウド事業を強化しています。2021年3期時点の売上のうち79%がクラウド事業による売上ですが、そのうちのストック型収入は14%程度しかありません。つまり、Discoveriez導入によるコンサル、周辺開発売上のほうが既存顧客からのライセンス収入よりも多いということです。クラウド事業によるストック型収入が業績に寄与するのはまだ先であり、累積導入件数がもっと必要です。

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事業計画及び成長可能性に関する事項について p8より引用

事業の強み

Discoveriezの強みについてですが証券リサーチセンターのレポートによると

  • 主要顧客である食品・日用品の大手メーカーの業務についてよく知っており、パラメータ調整だけで既存システムの機能維持要求に対応可能で導入コスト・期間を低減可能
  • 相談窓口オペレーターにとって使いやすいUI/UXをもち、教育コストが低く、業務効率化に繋がっている(おそらく食品・日用品メーカにとっての要望を理解していることから実現できているのではと推測)
  • ジーネクスト自身が顧客と接点を持っているほか、顧客対応窓口に関連した業界団体に属しており、顧客の要望を吸い上げてDiscoveriezを改良・開発する体制を有している


個人的には特に

  • ジーネクスト自身がシステムインテグレータとしての業務を担っており、顧客接点を持っている
  • 食品や日用品など顧客からの問い合わせ・クレーム対応が重要な業界に絞って製品開発をしている

といった点が筋が良いなとおもったところでしょうか。顧客に近い位置にいればいるほど、それが特殊なら特殊なほど他社から侵される可能性は低くなり、事業は強くなるからです。事業を拡大するためにはそのやり方を周辺業界に広げていけばよいです。

競合

証券リサーチセンターのレポートによると顧客相談窓口システムとしては

  • Salesforceの「Service Cloud」
  • Zendeskの「Zendesk Sunshine」

があり、いずれも顧客ニーズに応じて細かくカスタマイズ可能なソフトウェアである。


システムインテグレータの多くは顧客相談窓口パッケージソフトの開発から撤退しており、一概にジーネクストの競合とはいえない。


ジーネクストの説明によればDiscoveriezは顧客毎のカスタマイズ開発なしで導入可能でコストや期間の短さがSalesforceやZendeskに対する優位性であるとのこと。


業績と成長戦略

売上は大きく増加、利益は開発が一巡したこと・売上増加により最新決算期には黒字となっている。

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事業計画及び成長可能性に関する事項について p12より引用


同社は今後の成長のため主に以下の施策を実施しています。

  1. 小規模な顧客にも販売する
    • Discoveriez ライト版のリリース(2022年3月期2Qでの導入実績あり)
  2. 大規模顧客の契約単価向上を目指す
    • 追加オプションの拡充
  3. 新分野へのDiscoveriez適用
    • 入院患者管理(2021年3月から病院での効果検証)
  4. Discoveriez以外のサービスを開発
    • 株主優待電子化サービス「優待WALLET」サービス提供開始(2021年11月30日ローンチ)
    • フックサービスとしても期待
  5. 食品・日用品以外の周辺業界への拡大を目指す
    • 他の業界における顧客相談窓口に関する業界団体に加盟

まとめ

ジーネクストは食品・日用品など顧客問い合わせ・クレーム対応が重要な業界に特化したソフトウェアを開発しており、今のところそれが上手く機能し業績を伸ばしています。今後の成長については

  • 累積導入件数がまだ少なく、顧客基盤がまだ薄い
  • Discoveriez ライト版、入院患者管理、優待WALLETなどの新しい施策が上手くいくかはまだわからない
  • 強いライバルがいる

という点で上手くいくかわからないと思える要素がたくさんあります。

それでも

  • 直接顧客との接点がありニーズを開発に活かしやすい
  • 業界を限定しており、顧客に特化した製品の作り込みをしている

という点でわたしは評価しています。

同社の成長はいまのところ読めないというのが正直なところですが、わたし個人としては好きな会社です。


今回はここまでです。