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リスクモンスター 事業内容と業績推移

要点

  • 業績はほとんど成長していないか、ゼロ成長
  • 与信管理サービス等は〇
  • ビジネスポータルサイトは△
  • 財務盤石

事業内容

概要

リスクモンスターは大まかに以下3つの事業を営んでいます。

事業 内容
与信管理サービス等 企業の信用力格付け情報、企業の財務体力を考慮した与信限度額をASP・クラウドサービスによって提供する
ビジネスポータルサイト スケジュールや会議室の管理などの業務効率を図るためのサービスを提供するビジネスポータルサイト「J-MOTTO」を運営している。ASP版勤怠管理システム、給与データベースをWEB上で一括管理できるサービスも提供している
BPOサービス 顧客企業内にノウハウが少ない分野や付帯的な業務を請け負っている。マーケティング業務の効率化およびデジタルデータ化ソリューションを提供する

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売上と利益の構成を以下に示します。


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グラフから、「与信管理サービス等」と「ビジネスポータルサイト」とで売上の8割、利益の9割を稼いでいることがわかります。したがって、リスクモンスターはこれら2つの事業を営んでいる会社であるといえます。

与信管理サービス等

概要

与信管理サービス等では、ASP・クラウドサービスよる与信情報提供と与信管理のコンサルティングを行っています。

売上構成を以下に示します。

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ASP・クラウドサービス(当社が独自に開発したシステム「RM2 Navi System」を利用して、企業信用情報提供会社の有する約300万社の企業情報の信用力を定量化し、インターネット経由で与信情報を提供するサービス)が売上の大部分を稼いでいます。



ASP・クラウドサービスでは以下のサービスを提供しています。

サービス名 内容
e-与信ナビ 国内最大級の企業DBと倒産企業DBを分析し、企業の信用力を表す指標「RM格付」と、会員企業の財務体力を考慮した「RM与信限度額」等、与信意思決定に有効となる具体的な指標を提供するサービスです
e-管理ファイル 継続的に与信が発生する取引先を登録し、一括動態管理等を行うツールです。登録企業の信用状況及び企業データに変更があった場合に、電子メールにてアラーム通知する「モニタリング機能」が特長です
営業支援サービス 企業データベースから、所在地や業種、資本金、「RM格付」等の検索条件を指定し、マーケティングリストを作成するサービスです。企業データベースの中から優良企業を選別し、効率的な営業活動が可能となります
その他 内システムとRM企業DBを連携し一元管理できるクラウドサービス、「RM格付」が付いた国内、海外企業の信用調査レポートサービス、財務分析サービス、社内規程や契約書式集等実務に役立つ「e-企業実務サポート」等があります

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コンサルティングサービスについては売上に占める割合が低いため、説明を割愛します(これ以降も同様に割愛)。

ビジネスモデル

与信管理サービス等のビジネスモデルは以下の通りです。

  1. 東京商工リサーチなどの企業信用情報提供会社から企業情報を購入する
  2. 顧客にとって分かりやすい、もしくは、扱いやすいように企業情報を加工する
  3. 企業情報を加工して作成した「リスクモンスター独自の与信管理情報」をwebサイト経由で顧客に販売する

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決算説明会資料より引用

  

強み

リスクモンスターの与信管理サービスは顧客に以下のメリットを提供します。

  1. リスクモンスターが企業情報を分析し、与信管理情報(格付け情報など)を作成しているため、顧客は簡単に与信管理を行うことができる
  2. webサイトでサービスを提供しているため、すぐに与信管理情報を入手することができる。また、企業の与信管理情報に変更があった際に通知を受けることができる
  3. 低コストで与信管理情報を入手できる

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決算説明会資料より引用

  

従来の与信管理サービスと比べて上記のようなメリットを顧客に提供できる点が、リスクモンスターの与信管理サービスの強みです。
また、ストック型の収益構造である点も強みです。
  

競合他社

帝国データバンクと東京商工リサーチが主な競合他社です。

情報の出所がわからないため信頼できませんが、信用調査の市場規模は800億円程度、帝国データバンクが60%、東京商工リサーチが30%のシェアをもっています。
信用調査市場は帝国データバンクと東京商工リサーチの寡占市場であり、リスクモンスターのシェアは2%しかありません。

情報の出どころは以下です。
信用調査会社 - Wikipedia
リスクモンスターの企業分析 - 化学男のバリュー投資


  

リスクまたは弱み

「与信管理サービス等」のASP・クラウドサービスについて以下のリスクまたは弱みがあります。

  1. 帝国データバンクや東京商工リサーチも同様のサービスを提供することができる。少なくともノウハウは持っている。この場合サービスの優位性が無くなり、さらに、競合他社の方が大手であり信頼があるため、リスクモンスターに勝ち目はない
  2. 東京商工リサーチから情報を購入し、サービスを構築しているが、東京商工リサーチは商売敵なので敵対によって情報提供料を引き上げられて攻撃される可能性がある。競合他社に製品の原材料を依存しているのは、首根っこをつかまれているのと同じ

  

東京商工リサーチはリスクモンスターにとって、情報の提供元であり、商売敵であり、筆頭株主であるという関係の会社です。同社と良い関係を構築・維持していけるかどうかがリスクモンスターの与信管理ビジネスの継続と発展のために重要になってきます。

ビジネスポータルサイト

概要

主に中堅・中小企業向けビジネスポータルサイト「J-MOTTO(ASP・クラウドサービス)」によって、業務効率化のためのサービスを提供している。


売上構成を以下に示します。

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売上の大部分が「J-MOTTO(ASP・クラウドサービス)」によるものです。

「J-MOTTO」はグループウェアと呼ばれるソフトウェアで、組織の内部でのスケジュールやタスクなどの共有やコミュニケーションのための機能を提供します。


「J-MOTTO」が提供する主なサービスの内容は以下が詳しいです。
グループウェア:機能紹介 | クラウド・ASPサービス型グループウェア J-MOTTO


ビジネスモデル

特に説明する内容がないため割愛する。

強み

他社のグループウェアと比較して、機能的に優れている点は見当たらない。価格は他のグループウェアと比べると安い(オフィスが必要なければ)。
ただし、ストック型の収益構造である点はよい所。

クラウド型グループウェアサービス比較表 | クラウド・ASPサービス型グループウェアJ-MOTTO
  

競合他社

グループウェア事業の主な競合他社は以下の通りです。

  • 日本マイクロソフト(39.4%)
  • グーグル(33.5%)
  • 日本IBM(12.3%)
  • サイボウズ(9.8%)
  • ネオジャパン(1.3%)

上記は2015年度のデータです。
()内は数量ベースのシェアを示しています(【シェア上位5製品を徹底比較】おすすめグループウェアとはより)。

 
2016年のグループウェア(Saas型)の市場規模は990億円(『ソフトウェアビジネス新市場 2017年版』まとまる(2017/8/2発表 第17072号))。

リスクまたは弱み

「ビジネスポータルサイト」のJ-MOTTOについて以下のリスクまたは弱みがあります。

  1. 機能面で全く差別化できていない
  2. 低コストでグループウェアを導入できるが、オフィスを考慮するとマイクロソフトの方がコストパフォーマンスは上である

  

まとめ

まず、「与信管理サービス等」について。従来のサービスに比べれば便利で低価格というメリットがあり、なおかつストック型の収益構造を持っている魅力的な事業をやっています。ただし、信用調査は帝国データバンクや東京商工リサーチの寡占市場で、さらに、スイッチングコストが高いビジネスであるためシェアを奪うのは難しいです。事業の成長には時間がかかるでしょう。
帝国データバンクや東京商工リサーチが同様のサービスを提供してくる可能性がありますが、リスクモンスターのように低コストでの情報提供をするとなると利幅が薄く魅力に欠けるので「そうはならない」と考えています。東京商工リサーチはイノベーションのジレンマを解決するためにリスクモンスターと協力関係を築いているようにみえるので、同社との関係を注視していきたいです。
劇的な成長は望めませんが、将来性があり面白い事業です。長期的に見守っていきたいです。

次に、「ビジネスポータルサイト」について。他社が提供するグループウェアと比較して機能面での優位性はありません。価格こそ安いですが、コストパフォーマンスでは日本マイクロソフトのグループウェアに劣っています(office込みでの価格を考えると)。officeがすでにあり、グループウェアのみを導入したいニーズがあれば選択肢に入りますが、日本マイクロソフトやグーグルからシェアを奪って成長していけるほど優れた機能を提供できているとは思えません。
Saas型グループウェアの市場規模は拡大していきますが、機能面でもコスト面でも優位性がない商品を扱っているので期待はできません。


「与信管理サービス等」に期待して投資するのも悪くないといったところです。東京商工リサーチとの関係と「ビジネスポータルサイト」がリスク要因です。

財務状況

売上と利益

以下のグラフは売上および営業利益率の推移です。

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以下のグラフは営業利益と純利益の推移です。
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売上と利益は緩やかに増えています。
営業利益率は平均すると11.4%で高いです。

2008-3期に純利益がマイナスになっていますが、有価証券の減損によるものであり本業とは無関係です。


以下のグラフは売上構成の推移です。

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2008-3期にビジネスポータルサイト、2011-3期にその他が加わり売上が増えています。それ以外では大きな変化はありません。緩やかに増えているか、変わっていないといったところです。


以下のグラフはセグメント別の売上と利益率の推移です。各セグメントの利益についての情報は2011-3期以降しかありませんでした。

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「与信管理サービス等」の売上はここ10年間で緩やかではありますが増えており、2016-3期以降は売上の増加に伴って利益率も上昇しています。

「ビジネスポータルサイト」の売上はほとんど変化がありません。また、2016-3期以降の利益率上昇の理由はよくわかりません。


以下のグラフはセグメントごとの利益の推移です。

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前述したとおり、「与信管理サービス等」と「ビジネスポータルサイト」が利益の大半を稼いでいます。


以下のグラフは与信管理サービス等(ASP)の売上と会員数の推移です。

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以下のグラフは与信管理サービス等(ASP)の1会員当たりの売上の推移です。

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会員数が増加しており、それに伴って売上も増えています。
2008-3期から2010-3期にかけて会員数が減少していますが、これは景気の悪化によるものです。しかし、景気が悪化すると会員数は減少するが、1会員当たりの利用額が増えるため全体としての売上が増加するため不況耐性は高いといえます。
会員数の増加の割りに売り上げの増加が少ないですが、これは1会員当たりの売上が減少しているためです。景気がいいと与信管理に対するニーズが減少するため、サービスの利用が減ってしまうからだと思われます。売上の増加が緩やかではあるものの、会員数は順調に増えており、事業は成長していると評価できます。


以下のグラフはJ-MOTTOの売上と会員数の推移です。

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以下のグラフはJ-MOTTOの1会員当たりの売上の推移です。

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会員数が減少している一方で、売上は横ばいです。これは1会員当たりの売上が増えているためです。J-MOTTOを利用している会社は減っているが、深堀によって1会員当たりのユーザ数が増加しているということでしょう。グループウェア市場は拡大傾向にあるにも関わらず、会員数や売上が成長できていないのは残念です。

資産

以下のグラフは総資産と自己資本比率の推移です。

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総資産は増加しています。また、自己資本比率は80%を超えており、非常に高いです。


以下のグラフは資産の内訳推移です。

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総資産の増加要因は

  • 現金及び有価証券の増加
  • 有形固定資産の増加(2015-3期のみ)

であることがわかります。

有形固定資産の増加分は本社ビルの取得によるものです。おおよそ10億円をかけて土地と建物(改修費含む)を取得しています。


本社ビル取得の目的は以下の通りです。

■ 固定資産(土地及び建物)の取得について
業容拡大への対応、グループ機能の集約による効率的な業務運営の実現、賃借料など固定費の削減を図るため、2015年5月の本社移転を目的とし、土地及び建物を取得、改修工事を実施いたしました。
移転に伴う諸費用が発生すること、定率法による設備の償却額が初年度は大きくなるため、本社ビル取得による利益貢献は、2015年度下期以降に寄与する見込みです。

2015年3月期 決算説明会資料より引用


また、総資産の半分以上が現金および有価証券であり、キャッシュが余っている状態であることがわかります。

  

以下のグラフは負債の内訳推移です。

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総資産の増加分はほとんどが自己資本の増加によって賄われてます。つまり、利益が積みあがっているということです。

また、2015-3期の本社ビル取得のための資本の一部は借入によって調達されていますが、同社はキャッシュが余っているため借入によって資金を調達する必要はなかったはずです。銀行との関係を築いておきたかったのだと思われます。


以下のグラフは自己資本の内訳推移です。

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自己資本の増加は、利益剰余金の増加によるものだとわかります。しかも、資本金・資本剰余金が自己株式の消却によって減少しています。利益の積み上げ方としては理想的な形です。

ただ、これだけのキャッシュを余らせてほしくないのですが。

キャッシュフロー

概要

以下のグラフは各種キャッシュフロー、現金同等物、有利子負債の推移です。

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営業CFは常にプラスで、フリーCFも原則プラスになっています。本業によってお金を生み出せており、原則的にその範囲で設備投資等を行っています。手堅いお金の使い方をしてます。

有利子負債と比べて現金同等物が極めて多いです。2015-3期に本社ビル取得のために現金同等物が減少し、有利子負債が増えていますが、それ以降は有利子負債が着実に減っており、返済は順調です。

リスクモンスターのCFは総じて健全なCFといえます。

営業CF

以下のグラフは営業CFの内訳推移です。

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営業CFのほとんどが純利益と減価償却のみで説明できます。のれんや減損がほとんどありません。

営業CFはこの12年間、緩やかに成長していますが、物足りない成長水準です。

投資CF

以下のグラフは投資CFの内訳推移です。

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投資CFのほとんどが設備投資によるものです。


以下のグラフは設備投資の内訳推移です。

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2015-3期を除くと、設備投資の大半は無形固定資産への投資であることがわかります。
これはソフトウェアへの投資であり、毎年2~3億円程度の投資をしています。

ソフトウェアへの投資の目的は

  • サービス基幹システムの増強
  • システムサーバー増強

です。


2015-3期の有形固定資産への投資は、本社ビル取得のためのものです。賃借料削減のための投資であり、特に問題ありません。

財務CF

以下のグラフは財務CFの内訳推移です。

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2014-3期までほとんど借入がありませんでしたが、2015-3期の本社ビル取得のため6億円の借入を行っています。
また、2015-3期以降、株主還元に積極的で支出が増えています。

まとめ

売上、利益、営業CFは安定しています。ただ、成長はないか、緩やかなもので物足りない水準です。
「与信管理サービス等」のASPサービスについては、業績には表れていませんが、会員数が着実に増加しており、事業は成長できています。
「ビジネスポータルサイト」のJ-MOTTOは、売上は横ばいで、会員数が減少しており、事業は成長できていません。

資産の過半が現金・有価証券であり、キャッシュが余っています。これは同社のビジネスはソフトウェアへの投資が必要なものの、成長が緩やかであるためキャッシュの需要が少ないためと考えられます。同社の「与信管理サービス等」事業は急速な成長は望めませんし、「ビジネスポータルサイト」事業は成長できないと思われるため、この傾向は当分続くでしょう。

同社の財務は盤石であり、事業そのものが総じて景気循環に対して耐性を持っているため、業績は不景気の影響を受けにくいでしょう。


財務についてのリスクは見当たらず、会社のお金の使い方も手堅いので、安心できます。

まとめ

事業内容については

  • 与信管理サービス等は期待できるが、成長には時間がかかりそうなので長期的な視点が必要
  • ビジネスポータルサイト(J-MOTTO)の成長は期待できない

という評価で、J-MOTTOと東京商工リサーチとの関係がリスク要因です。

財務については

  • 業績はほとんど成長していないかゼロ成長である
  • 与信管理サービス等は会員数が増加しており、業績には表れていないが成長している
  • ビジネスポータルサイト(J-MOTTO)は、売上が横ばいで、会員数も減少しており、グループウェア市場が成長しているのにもかかわらず成長できておらず、評価できないが、キャッシュを安定して創出しており、完全にダメだともいえない
  • 財務は盤石で安心できる

という評価です。


財務が盤石で株主還元に積極的な会社に投資したいということであれば、良い投資対象です。ただし、成長は物足りなく前述したリスク要因もあるため、その点は割り引いて考えなくてはなりません。

今回はここまでです。