株式銘柄紹介ブログ

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投資セミナーの紹介 ~Aurea Lotus 人生と投資の会 基礎講座~

はじめに

個人的に良いと思える投資セミナーに出会うことが出来たので紹介します。


このセミナーは一言でいうと「正しい投資プロセスとはどういったものなのか、そのために何が必要なのか」を解説するものです。そのために「企業価値を測るにはどうしたらよいのか、どうやったらよい企業を見分けることが出来るのか、設備への投資判断はどのように行われているのか、資金調達はどのように行われるべきなのか」といった内容が盛り込まれています。注意してほしいのは、このセミナーを受けたとしても実際に企業分析ができるようにはならないです。あくまでもそのための基礎的な知識をつけるためのセミナーです。


セミナーは年に何度かZoomを使って開催されています。リアルタイムで参加できない場合は録画データで好きな時に受講可能です(リアルタイムで受講した場合も録画データで復習可能)。1回あたり3時間程度のボリュームがあります。ちなみに私が受けたセミナーの受講料は1回5000円、3回分受講したので15000円かかりました。amazonのアカウントを持っていればamazon経由で料金の支払いが可能です。


受けたセミナーは以下の通りです。

 

セミナーは以下の書籍に沿ったものとなっています。

 

対象となる受講者

「基本的な株の知識があって、更に上達したい方」「企業の業績やビジネスモデル、競争優位性などに着目して投資を行いたい方」「インデックス投資ではなく、個別銘柄への投資をしたい方」にお勧めのセミナーです。


完全な初心者にとってはやや難しいので、最低限知識がある方向けの内容となっています。といっても難しい知識が求められているわけではなく、財務諸表が何となく読めて、ROEとかPERとかそういった基本的な用語の意味を知っていれば大丈夫だと思います。基本的な考え方や知識を解説するセミナーなので、少し大変ですが不明な点が出てきたら録画データを一時停止して調べれば何とかなるレベルだと思います(初心者は録画データを活用して受講することを推奨します)。


セミナーは書籍の重要なポイントを説明していく形で進みます。なので本の内容を完璧に理解できているという方であればセミナーを受講する必要はないと思います。わたしの場合、本の理解度が50%程度であったため理解が深まり、非常にためになりました。このセミナーの価値は「著者が重要なポイントをかいつまんで説明してくれる」というところにあります。本を先に読んで理解を深めるためにセミナーを受講するというのが一番効果が高いのではないかと思っています。


セミナー自体は良心的な価格ですが、それでも書籍と比べると高価なので書籍を先に読んでからセミナー受講の是非を判断したらよいでしょう。


セミナーの内容と所感

①『バリュー投資と企業価値分析の基礎講座』

書籍の第1章「真のバリュー投資と企業価値分析の基礎」に沿った内容のセミナーです。


投資をするうえで必要となる基礎知識や考え方が解説されており有益です。やや語弊があるかもしれませんが「企業価値を重視した投資を行うべき、企業価値創造を測る指標はROICが適切で、企業価値算出にはDCFを使うのが良い、正確な企業価値を算定するよりも大切なことがある」というのが要旨です。


「ROICではなくてROE、ROAではだめなのか」「なぜキャッシュフローに着目するのか」「DCFを用いるのはなぜなのか」について論理的に説明されています。また、DCFを使う上で算定が必要なWACC、特に難解なCAPM(特にβ)についての講師の見解であったり、FCFの算出方法なども説明されています。


セミナーを受講したら、実際にROICやWACC、FCFを計算してみることをお勧めします。やってみると案外理解できていないことに気が付くもので、再度視聴しなおしたり、本を読みなおしてみるときちんと説明されていたりして、理解が深まっていくのが実感できます。また、DCFを使って企業価値を算出するのは手間がかかるうえに、ちょっとしたパラメータの変化で結果が大きくぶれるので難しいですが、正しい投資プロセスについて考える上で非常に有益です。ぜひやってみてください。

②『フランチャイズバリュー創造企業に投資する為の基礎講座』

書籍の第2章「価値創造の決定要因 --参入障壁とビジネスモデル」に沿った内容のセミナーです。


価値創造の要因である参入障壁やビジネスモデルについてを実例を交えながら解説しています。もう少し具体的に言うと、「参入障壁とは何なのか」「一般によく取り上げられる参入障壁のパターンは実際に有効なのか」「参入障壁はどのように作りこまれるのか」といった内容となっています。


参入障壁やビジネスモデルはテーマとして非常に奥深くて難しい内容ですが、重要なポイントに絞って述べられており導入として優れています。


本質からはやや外れていますが

  • ブランド単体の価値創造能力は高くない
  • 工場を持たないことは競争優位性の面では必ずしも有利に働かない
  • 大資本であることは競争優位性に結び付きにくくなった

といった話が個人的に面白かったです。


わたしも何年か投資をやっているので過去調べた会社や読んだ書籍とつながる内容が多々あり、非常に興味深く受講することが出来ました。投資を始めたばかりの初心者よりは、ある程度経験がある方のほうがおもしろく受講できるのではないかと思います。また、実際の投資に活かすことまで考えると個人的にはここがセミナーの中で一番難しい内容だと感じます。


繰り返しになりますが、セミナーの内容を振り返りながら実際に企業分析をしてみることをお勧めします。

③『ファイナンス理論を徹底的に学ぶ基礎講座座~経営者の財務的思考~』

書籍の第3章「投資家が知るべきファイナンス理論の基本」に沿った内容のセミナーです。


企業価値を最大化するための資金調達や投資判断について解説されています。その他普遍的ではあるのですが、投資を行う上で知っておいたほうが良いファイナンスの知識がまとめられています。

  • D/E比率、MM理論
  • 投資判断指標 NPV、IRR
  • 設備投資の目的
  • 設備投資の効果を計算する例題
  • 配当、自社株買い

などなど。


ファイナンスについてはビジネスモデルや投資手法と比較して意識する機会が少なかったので、必要な知識を学べたのは有意義でした。内容を厳選して説明されているので効率はいいように思います。ただ、抽象度が高い話が多いのできちんと理解するには時間がかかりそうです。

おわりに

最後になりますが、書籍もセミナーも読みっぱなし、受けっぱなしではあまり効果がないので実際に得た知識を使って銘柄を分析してみることをお勧めします。


また、不明点があった場合は大抵の場合は書籍やセミナーを見返すときちんと説明されていたりしているので復習安定です。基礎的な内容なので自分で調べて解消することが多いです。それでも、どうしても解決しなければ著者はTwitterをやっているので質問してみるものいいかもしれません。私が質問した際は基本的な内容であればOKということだったので丁寧に回答いただくことが出来ました。

ただ、著者も多忙なので可能な限り自分で解決するようにしたほうが良いと思います。



あと、実際に企業価値算定を行うためのセミナーもやっているみたいなので、こちらも受講したら紹介記事を書きたいと思います。


今回はここまでです。