事業内容
事業概要
あさひは自転車の販売を主な事業として営んでいます。
販売は主に全国に直営店449店(2019-2期)を展開する「サイクルベースあさひ」にて行っています。インターネット通信販売もしてはいますが、売上の7%に過ぎません(2018-2期)。
あさひの具体的な取扱品目は以下の表のとおりです。
有価証券報告書より引用
以下は2019年2月期の品目別の売上構成です。
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当然ですが「自転車」の売上が大半を占めています。
業績推移
売上と利益
以下のグラフは売上と営業利益率、営業利益、純利益の推移です。
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売上が大きく増加しています。
一方で、営業利益率は2010-2期以降低下しています。ただし、2019-2期の営業利益率は6.8%あり、低いわけではありません。
また、営業利益および純利益は2010-2期以降は横ばいとなっています。
以下のグラフは2010-2期以降の売上原価および販管費用の比率の増減推移です。
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福利厚生費が2012-2期にその他より分離していることに注意が必要です。それを考慮すると最も比率が増加している費用は「給与手当」で3.7%、続いて「地代家賃」が1.4%、「売上原価」が0.8%、「福利厚生費(2012-2期以降)」が0.75%、「減価償却費」が0.6%です。一番大きいのが人件費であることがわかります。「福利厚生費」も人件費と考えると「給与手当」と併せて4.45%の負担増となっています。それに「地代家賃」「減価償却費」「売上原価」の2.8%を加えると7.25%となり、2010-2~2019-2期の営業利益率の低下7.3%のほとんどを説明することが出来ます。
以下のグラフはROAとROEの推移です。
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ROE・ROAともに2010-2期以降は低下しています。ただし、2019-2期のROEは9%あり、低くはありません。
財務レバレッジは判断が難しいですが、低下傾向にあります。
セグメント情報等
以下のグラフはロイヤリティ収入・外販などを除く売上と直営店舗数の推移です。
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店舗数の増加とともに売上を大きく伸ばしていることがわかります。
以下のグラフは1直営店舗当たりの売上推移です。
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1店舗当たりの売上は約1.2憶円でほぼ横ばいであることがわかります。
以下は品目別の売上構成および売上増加量の推移です。
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どの品目の売上も増加していますが、「自転車」の売上増加が著しいです。
以下は自転車の種別ごとの売上推移です。
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2016-2期以降の売上増加は電気自動車およびスポーツ車がけん引しているといえます。ただし、1店舗当たりの売上は増えていないので、一般車の代わりに電気自動車やスポーツ車が売れるようになったとみるのが妥当でしょう。また、2008年以降、自転車の生産台数が減った一方で生産額が増加している(1台当たりの価格が上昇している)といったデータがあるので、2015-2期以前も同様の傾向にあったと考えています。
資産
以下のグラフは総資産と自己資本比率の推移です。
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総資産額が増加しています。自己資本比率は判断に迷いますが上昇しているといえます。また、2019-2期の自己資本比率は71%と高いです。
以下のグラフは資産の内訳推移です。
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棚卸資産と有形固定資産が大きく増加しています。有形固定資産の増加は店舗によるものです。成長のために店舗や在庫への投資が必要ということです。売上が成長しており、利益も毎年安定しているのにキャッシュはほとんど積みあがっていません。
以下のグラフは負債の内訳推移です。
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自己資本が大きく増加しています。また、2015-2期以降に有利子負債が増加しています。成長のための店舗や在庫への投資は大部分が自己資本によって賄われていますが、一部不足を補うために借入を活用しています。
以下のグラフは自己資本の内訳推移です。
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自己資本の増加は利益剰余金の増加によるものであり健全です。
キャッシュフロー
営業CF
以下のグラフは営業CFの推移です。
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2010-2期以降、営業CFは成長していません。
投資CF
以下のグラフは投資CFの推移です。
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投資CFのほぼすべてが有形固定資産への投資です。これは店舗取得のためのものです。
同社の買収はありません。
同社の子会社は中国北京の愛三希 自転車商貿有限公司のみであり、2010年3月に現地法人を設立しています。
財務CF
以下のグラフは財務CFの推移です。
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以下のグラフは財務CF中の株主関連収支の内訳です。
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特に気になる点はありません。
全体
以下のグラフは各種CFおよび現金同等物と有利子負債の推移です。
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- 営業CFは2010-2期以降横ばい
- ネットキャッシュは2014-2期以前と比較して減少
2010-2期以降、営業CFは横ばいですが常にプラスで安定して収益を出せています。ただ、成長のため店舗や在庫へ投資が必要であり、キャッシュの余裕があまりないです。
まとめ
あさひは売上が大きく増加している一方で、利益は2010-2期以降伸び悩んでいます。
2006-2~2019-2期については
- 売上が120億円から574.6億円となり、454.6億円増加、+378%、年平均13%成長
- 営業利益が9.3億円から39.2憶円となり29.9憶円増加、 +321%、年平均9~10%成長
となっています。
2019-2期の営業利益率は6.8%と低くはありません。
2010-2期以降に利益が伸び悩んでいるのは「給与手当」「福利厚生費」などの人件費や「地代家賃」「減価償却費」「売上原価」といった費用負担が増加したためです。それぞれ以下のように売上に対する比率が増加しており、営業利益率の低下要因となっていました。合計7.25%。
- 「給与手当」が3.7%
- 「福利厚生費(ただし2012-2期以降)」が0.75%
- 「地代家賃」が1.4%
- 「売上原価」が0.8%
- 「減価償却費」が0.6%
国内向け自転車金額(国内生産および輸入金額)は2008年から2018年にかけて1070憶円から1283億円へと19%増加してるのに対して、同時期に同社の自転車売上は116億円から410億円へと253%増加しています。国内向け自転車金額が国内の自転車市場規模であると仮定すると、同社は自転車市場の成長を大きく上回る速度で成長しています。素晴らしいと思います。今後も売上を伸ばしていけるかは検討が必要ですが、一般車のような低価格の自転車よりも電気自動車およびスポーツ車のような高価格の自転車が売れるようになってきていることや、全国の自転車販売台数の67%程度が量販店・通販等で販売されていることから、しばらくは大丈夫ではないかと考えています。消費者は高価格帯の商品は専門店で実際に見て触って購入したいと考えるはずであり、少なくとも量販店や通販よりは同社のような専門店が選ばれそうだからです。
ただ、同社のビジネスは成長のために大きな資本投下が必要であり(主に店舗や在庫に)、成長が続いたとしても同社がキャッシュリッチになることはないでしょう。
したがって同社の今後の見どころは
- 国内自転車の市場規模が今後も成長するのか、高価格帯の電気自転車やスポーツ車の販売増加は続くのか
- 人件費や地代家賃といった費用の負担はこれからも増加していくのか
- 1店舗当たりの売上を維持したまま、今後も新規出店を続け売上を伸ばしていくことが出来るのか
あたりだと考えています。
今回はここまでです。