株式調査記録

主に日本の株式の調査結果をまとめています

ABホテル 事業内容と業績推移

事業内容

ABホテルは東海・関西地方を中心にホテル業を営んでいます。また、同社はホリデイスポーツクラブを運営する東祥の子会社です。


以下のページは同社のホテル一覧です。同社のホテルの立地が東海・関西地方に集中していること、2020年7月23日現在で28店舗出店していること、典型的な宿泊特化型のホテルであることがわかります。
ホテル一覧 |【公式HP】ABホテル 総合サイト


上記ページのGoogle Mapに「For development purpose only」と表示されている。APIキーを取得していないのではないかと思われるが、自社ページのメンテナンスがキチンとされていないのはよくないです。



以下は2020年3月期の部門別の売上構成です。

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東海エリアと関西エリアで売上の大半を占めています。同社の出店方針は「出店地域を絞らずに全国の駅前や主要インターチェンジ付近を中心に出店」ということなので、新規出店場所は東海・関西に限らないようです。


以下のページに同社を詳しく解説したレポートがあります。一読することをお勧めします。証券リサーチセンターによるレポートです。

holistic-r.org


業績推移

売上と利益

以下のグラフは売上と経常利益率、経常利益、純利益の推移です。

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売上も利益も増加しています。2020-3期の経常利益率は20.6%と非常に高いです。この利益率の高さは何かしらの優位性があることを示唆しています。証券リサーチセンターのレポートによると、同社の強みはコスト競争力であり、その要因は以下の2点です。

  • 親会社の東祥はもともとは建設業を営んでいたため同社にも建設のノウハウがありホテルの建設コストを低く抑えることができる(同社の主なホテル出店方法は土地を借りて同社がホテルを建てる方法)
  • 夫婦またはカップルに個人事業主になってもらい、同社が研修したうえでホテルのフロント業務を委託することで運営コストを低く抑えている


一方で、年々経常利益率が低下しています。2016-3期は32%もありましたが2020-3期は20%まで低下しています。コストについての情報が2017-3期以降からしかないので、それ以降の話になりますが利益率低下の要因は

  • 維持管理費が3.5%
  • 減価償却費が1.6%
  • 貸借料が0.9%

となっており、2017-3期以降の利益率の低下7%のうちの6%を説明することができます。後述しますが、同社の1客室当たりの売上は減少しており、ホテルを新規出店し投資した割には売上が増えなかったことが原因であると考えています。稼働率や単価のどちらが原因かはわかりません。同社の利益率は高く、何かしらの優位性を持っている可能性が高いですが今後もこの傾向が続くようであれば注意が必要です。



以下のグラフはROAとROE、財務レバレッジの推移です。

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財務レバレッジは横ばい、ROAとROEは低下しています。


セグメント別の売上推移

以下は部門別の売上構成、売上増加量の推移です。

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東海・関西エリアの売上が大きく増加しており、この地域で同社は主に成長しているといえます。


以下はホテル数および客室数です。

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4年間のうちにホテル数と客室数が倍以上になっています。


以下は1客室あたりの売上です。

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1客室あたりの売上は減少傾向にあります。稼働率が下がったのが、単価が下がったのかはわかりません。しかし、同社のホテル数や客室数はこの数年間に大幅に成長しているため、業務の効率化が進んでいないだけとも考えられます。今後の経過を注視したいです。

資産

以下のグラフは総資産と自己資本比率の推移です。

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総資産額は増加しています。一方で、自己資本比率は横ばいです。2020-3期の自己資本比率は約32%でありやや低い水準です。ちなみにですが、オペレーティングリースによる簿外債務はほぼありませんでした。多くても300万円程度。



以下のグラフは資産の内訳推移です。

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資産の多くが有形固定資産であり、ホテルにかかわるものです。同社は新規出店時にホテル自社で建設しており有形固定資産が大きく増加します。また、キャッシュリッチなわけではないですが同社は2020-3期時点で39億円の現金を保有しています。同社の2020-3期の売上は63億円であり、半年分以上の現金を持っているということです。新規ホテル建設などでどの程度キャッシュアウトするかにもよるのですが、そう簡単に倒産することはなさそうです。



以下のグラフは負債の内訳推移です。

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自己資本が増加しています。また、有利子負債も増加しています。同社は借入と自己資本によってホテルを新規出店しているといえます。


以下のグラフは自己資本の内訳推移です。

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自己資本の増加は利益剰余金の増加によるものであり健全です。

キャッシュフロー

営業CF

以下のグラフは営業CFの推移です。

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営業CFは成長しています。


投資CF

以下のグラフは投資CFの推移です。

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投資のほとんどが設備投資。



以下のグラフに投資CFのうち設備投資の支出のみを抜き出し、図示します。

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設備投資が年々増加しています。2020-3期の投資CFが少なかったのは、新規出店を取りやめたことによる有形固定資産売却の影響です。

財務CF

以下のグラフは財務CFの推移です。

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同社は借入を増やしています。

全体

以下のグラフは各種CFおよび現金同等物と有利子負債の推移です。

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営業CFは成長しており、さらにプラスであるため経営状態は良いといえます。営業CF以上に投資を行っており、積極的です。有利子負債が大きく増加している一方で、現金もそれなりに増加しており、財務の安全にも配慮しているのかもしれません。

まとめ

ABホテルの2020-3期の売上は63憶円、経常利益は13億円、経常利益率は20.6%でした。
過去4年間の平均の売上成長率は21%、経常利益成長率は8%でした。


同社はホテルを出店することで着実に成長しているといえます。同社は建築のノウハウ、ホテル業界としては珍しい形式でのフロント業務委託によって低コスト化を実現しており、それが高い利益率に結び付いています。ただし、利益率は低下し続けています。原因はホテルの客室数増加のための投資をした割に売上が増えていないからと考えています。これが今後も続くのか、そうでないのかはわかりません。


新型コロナウイルス流行が同社の業績に与える影響についてですが、2021年3月期決算の情報がなくわかりません。


したがって同社の今後のみどころは「1客室当たりの売上が上向き、利益率を向上させることができるのか」と考えています。


今回はここまでです。