株式調査記録

主に日本の株式の調査結果をまとめています

日本のホテル需要について調べてみた

はじめに

新型コロナウイルスの流行によってダメージを受けている業界について調べてみようと思い立ちホテル業界について調査しています。ホテル業界そのものについて調査するのはなかなか敷居が高いので、業界に関連する統計テータを調査しました。

具体的には以下の2点です。

  • 訪日外国人数
  • 延べ宿泊数


また、近年、訪日外国人数が増えているといわれていますが

  • 具体的にはどこの国からきているのか
  • どの県に宿泊することが多いのか
  • 邦人の宿泊動向はどうなのか
  • どんな形式のホテルが好まれているのか

といったことを調査しました。


ここでは延べ宿泊数をホテル需要とみなして調査しています。

訪日外国人数


以下のグラフは目的別の訪日外国人数の構成です。


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日本政府観光局 月別・年別統計データ(訪日外国人・出国日本人)国籍/目的別 訪日外客数(2004年~2018年) よりグラフを作成


観光目的の訪日外国人の数が増えていることがわかります。商用目的は増えていません。



以下のグラフは観光目的の訪日外国人数の構成です。


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日本政府観光局 月別・年別統計データ(訪日外国人・出国日本人)国籍/目的別 訪日外客数(2004年~2018年) よりグラフを作成


外国人観光客の中でも中国、韓国、台湾、香港などのアジア圏(特に日本に近い国々)の人が非常に増えていることがわかります。アジア圏以外であれば、米国の人が増えています。


宿泊動向

全体の延べ宿泊数

以下のグラフは延べ宿泊数の構成および増減(宿泊者の居住地別)です。

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観光庁 宿泊旅行統計調査よりグラフを作成



国内の宿泊需要は成長しているといえます。特に外国人の延べ宿泊数が2011年以降いっかんして増加しています。日本人の場合は2013年までは増加していますが、その後は横ばいです。日本人の延べ宿泊数の増加は東日本大震災による影響からの回復であると考えられます。


国内の宿泊需要について考えると外国人の宿泊需要は増加しているが、日本人の宿泊需要はそうではありません。ただし、日本人の延べ宿泊数は極めて大きく、増減率は大きくないので日本人のホテル需要は底堅いといえます。また、日本人が全体の延べ宿泊数に占める割合は82%であり、日本人の宿泊需要が大半を占めています。


県別の延べ宿泊数

以下のグラフは県別の延べ宿泊数および増減です。

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観光庁 宿泊旅行統計調査よりグラフを作成


東京や大阪といった都市や、北海道、沖縄、千葉といった観光地の宿泊需要が大きいということがわかります。ただ、上位5都道府県で全体36%を占めるに過ぎないため、宿泊需要は日本全国に遍在しているといえます。

上位5都道府県の延べ宿泊数はいずれも増加しています。これは外国人の延べ宿泊数が増加しているからです。また、東京、大阪、北海道は日本人の延べ宿泊者数はあまり増加していませんでしたが、沖縄と千葉は日本人の延べ宿泊者数が増加していました。沖縄と千葉については日本人の宿泊需要も増えているということですね。


冗長になるので詳しく説明はしませんが、上位5都道府県の延べ宿泊数の構成および増減(宿泊者の居住地別)のグラフを載せておきます。

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観光庁 宿泊旅行統計調査よりグラフを作成

施設別の延べ宿泊数

以下のグラフは施設別の延べ宿泊数および増減です。

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観光庁 宿泊旅行統計調査よりグラフを作成


旅館以外はすべて宿泊数が増えています。旅館の延べ宿泊数減少の原因は日本人の延べ宿泊数が減少しているからです(外国人は増えている)。


ビジネスホテルの延べ宿泊数がもっとも増加しています。ビジネスホテルに関しては外国人・日本人ともに延べ宿泊数が大きく増加していました。

外国人の宿泊動向

居住国別の延べ宿泊数

以下のグラフは外国人の居住国別の延べ宿泊数の構成です。

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観光庁 宿泊旅行統計調査よりグラフを作成


中国、台湾、韓国、香港といった日本から近いアジア圏の人々による延べ宿泊数が多くなっています。欧米諸国の中では米国が多いです。観光目的の訪日外国人数の傾向と同じです。

県別の延べ宿泊数

以下のグラフは県別の外国人延べ宿泊数および増減です。

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観光庁 宿泊旅行統計調査よりグラフを作成


東京、大阪、北海道、京都、沖縄の上位5都道府県で外国人延べ宿泊数の62%を占めており、外国人が宿泊するのは特定の地域に集中しているということがわかります。特に東京、大阪、北海道、沖縄は日本人の延べ宿泊者数の上位5都道府県に含まれており、底堅い日本人の宿泊需要と成長期待のある外国人の宿泊需要を併せ持った地域であるといえます。

施設別の延べ宿泊数

以下のグラフは施設別の外国人延べ宿泊数および増減です。

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観光庁 宿泊旅行統計調査よりグラフを作成


いずれの施設についても宿泊数が増加しています。特にビジネスホテル、シティホテルの増加が大きいです。

おわりに(雑感)

訪日外国人観光客の増加に伴って、ホテルの需要も成長しています。おそらくホテル業界の市場規模についても同様であると考えられます。日本人の宿泊需要は成長していませんが、全体の8割を占めており大きな増減もないので底堅く推移すると思われます(新型コロナウイルスの流行もあって直近は大変な状況ですが)。


宿泊需要は東京、大阪といった都市や北海道、沖縄、千葉といった観光地に多いです。また、外国人の宿泊需要は東京、大阪、北海道、沖縄、京都に集中しています。施設別ではビジネスホテルの需要増加が最も大きくなっており、都市圏や観光地でのビジネスホテルには大きなチャンスがあるといえます。特に東京、大阪、北海道、沖縄については国内の底堅い需要と外国人観光客の需要成長を享受することができるでしょう。


ホテルの客室数の増加についてはデータを持っていませんが、不動産サービス大手のCBREの記事(2018年時点の記事)によると東京、大阪、京都、札幌、仙台、名古屋、広島、福岡のホテル客室数は2020年末までに2016年末比で約30%増える見込みであり、客室数は大きく増えているようです(その大半が宿泊特化型のホテル)。ただし、必ずしも供給過多であるとはいえないようで、このまま訪日外国人観光客が増えるのであればホテル業界の事業環境は悪くないのかもしれません(新型コロナウイルスの流行を乗り切ることができるのであれば)。


ホテルの客室供給と需要については以下2つの記事が参考になるのでお勧めします。

 

ビジネスホテルは日本人と外国人の双方からの需要が大きく成長もしていますが、個人的には投資対象として魅力的だとは思えません。理由としては以下の3つがあります。

  • ビジネスホテルはコモディティであり差別化が難しく、価格競争におちいりやすい
  • 宿泊需要が増加が長期的に続くかよくわからない(長期的とは10年20年のこと、5年程度であれば問題なさそう)
  • 市場規模は恐らく大きく成長しており、新規参入を招きやすい。さらに言えば大資本が参入する条件が整っており、競争が激化しやすい。

 

「ビジネスホテルは競争が激化しやすく、コモディティであるがゆえに差別化が難しいので市場規模の拡大が止まったら厳しいことになりそうだ」と思っています。なので市場規模が衰退していそうな旅館や、都市圏や観光地などのボリュームゾーンを避けたニッチなホテルのほうがおもしろそうだと思っています。そういう銘柄を今のところ知らないのですが、こういう衰退していたりニッチだったりする分野で頑張っている銘柄があればぜひ買いたいなと思っています。



今回はここまでです。